「組織の新陳代謝」というと、どうしても、若手を重視し、
年配の社員を軽視するように思われがちだが、そういうことではない。
ただ「ずっとそこに留まっていること」が問題だとするならば、
年齢を問わず、誰もが、常に新しいステージに進むという意味での
「代謝」を心がけなければならない。
留まっているというのは、単に、場所や役職だけを意味するものではない。
その個人の考え方や価値観、目指すべきものを改革していくということ。
次から次へと目の前に現れる階段を、一歩ずつ上っていくようなものだ。
なぜなら、ずっと同じ段に止まっていては、後から来る人たちが
上ってこられないからだ。
そもそも、なぜ、ずっと同じ段に留まっていると、問題なのか?
もちろん、留まりながらも、継続的に利益を上げることができる
社風または仕組みがあれば、何ら問題無い。
しかし、留まることによって「変化を嫌う」という傾向が
出てきてしまっては、そこから何も、新しいものが生み出せなくなってしまう。
そこには「慣れ」や「飽き」が発生し、それがビジネスにおいて
マイナスの方向に働いてしまうのだ。
学生を例に、考えてみよう。
大学の場合、1年から4年まで、段階的に上がっていく仕組みがある。
それは、一年という区切りで、しっかりと区分けされているから、
普通に勉強していれば、自然に上がることが可能。
しかし、留年というリスクもあるから、誰もが必死になって勉強するし、
卒業しようとする。留年したくない、という恐怖心が、
次のステップに進むための、大きなモチベーションになる。
だが、もし大学4年まで行って、就職先が無かった場合、
どうするだろうか? なんとかして、必死に、働く先を見つけるに違いない。
もう大学には残れないという自覚を、しっかり持っているからだ。
それに対して、会社組織では、どうだろうか?
入社一年目、二年目、三年目・・・
いずれ、新人の領域を脱して、一般社員から、
係長、課長というステップを、自然に登ることになる。
もちろん「早く出世したい」という欲求はあるかもしれないが、
逆に「出世できなかったらどうしよう」という恐怖心は少ない。
なぜなら、出世できなかったとしても、給料はもらえるし、死にはしない。
下手に出世して、責任を押し付けられるのは御免だという考え方もあるだろう。
つまり、そこには、学生時代ほどの「留年したらどうしよう」という恐怖心は無い。
だから、ずっと係長だろうが、ずっと課長だろうが、それでいいと思う。
そのままでも、何ら生活に支障は無いのだから。
社内の椅子の数は限られている。だからこそ、みんながみんな、
管理職になれるわけじゃない。しかしながら、管理職になれない人間は、
そのまま、成長せずに、同じ場所に留まっているというのも、面白くないと
感じるだろう。
そのような場合は、社外に目を向けて、独立なり、
自分で会社を作るなり、新しい道を目指せばよいのだが、
現実問題としては、リスクもあるし、なかなか難しい面もある。
一方、会社によっては、特定の部署だけを分社化し、
独立採算制にすることで、これまで管理職だった人材を、
その分社先のトップにするという方法を取っているところも多い。
そのほうが、本人たちの「本気モード」に火をつけることができると
考えたのだろう。
大学生は、大学生でありながら、ずっと大学に留まろうとはしない。
それは、一時的な通過点であることを、知っているからだ。
会社組織においても、ある特定の役職を「通過点」という前提で
考えるならば、年齢を問わず、常に、自らに対して「新陳代謝」
を意識できるはずである。
そのためには、選択肢を広げることが大切なのだが、
その前提にあるものは「社外にも目を向ける」ということ。
そうすれば、次に自分が目指すべきステージが、自然と見えてくる。
仮に、現場でバリバリ作業をしていた社員が、
管理職になったとしよう。彼は、もう現場で作業をする
ことはなくなった。部下に任せるという「人の管理」が
主な仕事になったからだ。
そこで『やっと俺は現場の作業から開放された。これからはのんびり
楽が出来るぞ』と考えると、そこから発展は無い。
そうではなく、次のステージ、つまり
「人を管理する」という仕事に対して、どこまで真剣に取り組めるか?
それが勝負の分かれ目。
これまで、現場の作業をバリバリこなしてきた社員なのだから、
もともと、優秀な社員であるはず。そのような社員が、今度は
「人の管理」について、真剣に取り組んだら、きっと、とても
優秀な管理者になることは間違い無い。
そこには、現場の作業で培ってきたノウハウだけでなく、
新しいスキルが必要になる。コーチングやマネジメント能力が問われる。
『名選手は、必ずしも、名監督にあらず』
スポーツの世界でも、よく言われることだ。
管理者として、一段上に上がった社員が、次に何を考えるか?
その取り組み方1つ考えるだけで、会社も社員も、大きく発展できることは
間違い無いだろう。
(次回につづく。)
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