ビジネスのライフサイクルが短くなっているという前提に
立つならば、今後益々、人材の流動化が加速されることは
間違い無いだろう。
戦後のインフラ整備時代、1950年から2000年までは、
電気、道路、鉄道、通信、ダム等をはじめとするライフライン確保
のインフラに、莫大なエネルギーが投資されてきた。
そのインフラビジネスを柱として、それに付随する関連企業
が潤い、情報交換と物流が促進され、通信業界や物販、量販店
が潤ってきた時代。
インフラの整備と保守には、膨大な費用と時間がかかる。
つまり、ビジネスモデルとしては、数十年レベルの
大規模なビジョンが必要だった。
仮に、1つのインフラビジネスが30年続くとすれば、
新卒で入った25歳の社員が、ちょうど55歳になるころには、
そのビジネスは終息を迎えていたが、55歳で管理職、
あとは退職金を貰って定年待ち、という状態。
それが、現在の大企業の姿。
インフラ系のビジネスが終息を迎えると同時に、2000年を
過ぎてから、人口の減少と、高齢化が、もはや一般常識となり、
広く私たちの意識の中に浸透している。労働人口が少ないから、
消費も少なくなるという自然な流れだ。
となると、これまでのインフラビジネスのように、長期的かつ
大規模で、安定した収益が見込めるビジネスチャンスは、
限りなく少なくなりつつあることが分かる。
つまり、今後は、これまで整備し尽くされたインフラを活用し、
いかに、その上に、付加価値を見出していけるか?
が勝負なのだ。
パソコンで言えば、OSは既に完成され、もはや改善の余地が無い
状況になったとき、あとは、いかに、そのOS上で動作するアプリケーション
を開発するか? が勝負になってくる。
OSのライフサイクルに比べると、アプリケーションの寿命は短い。
流行りすたりもあるし、時代に合っていなければ、だれも買わなくなる。
OSのように普遍的なソフトウェアでない限り、
長期的に安定した収益を上げるのは難しい。それがソフトウェアビジネスの
難しいところだ。
アプリケーションソフトウェアを、社員という人材に
置き換えて考えてみると、どうなるか?
既に、社会基盤は完成され、物質的な豊かさに飽き始めている。
モノは溢れ、オフィスビルも住宅も余る。
となると、ハードからソフトへ、つまり精神的な満足度、
あるいは、これまでは味わえなかった優越感、高級感、癒し
などを求めるビジネスが主流になってくることは間違い無い。
ただ、それは、単なる雑貨やレジャーという観点だけでは
語り尽くせないだろう。
ニーズからウォンツへという言葉に従うならば、
確かに、戦後は必要なもの(生活必需品)が売れたが、
高度成長期、豊かになると「不要だけど欲しいもの」
への欲求が高まった。コンピューターゲームや
ディズニーランドがそうだ。
そして次の流れ。
ニーズ → ウォンツ →
今、ウォンツが無い状態。つまり、誰もが、お金が無いが、
欲しい物も無いし、何が欲しいのかもわからない。
そのような時代において、まず必要なことは
「新しいウォンツ」を気づかせること。
お客は既に、ウォンツを持っていないのだから、
売る側が、まずウォンツから作り出さなければならない。
それは、今まで思いもつかなかったようなコンセプトや盲点。
そこに気付くためには、常に新しい情報を仕入れ、
変化しつづける能力が問われる。
だからこそ、変化しつづける人間は、流動的な流れを逆手に取り
自分に有利なように、仕事の条件や職版環境を
次々と着替えていくことができるのである。
最近、歯の「ホワイトニング」ビジネスが急速に伸びている。
これまで、歯科医の位置付けは「歯の治療をするところ」だった。
だが、ホワイトニングは「歯を白くすること」だけに特化したビジネス。
それは治療ではなく、エステ感覚で、健康な歯の持ち主が通うという
新しいコンセプトによるウォンツを生み出したのだ。
歯を白くするためだけにお金を使うという観点。
ここに、新しい市場を作り出すことができる。
このような例は、これからいくつも出てくるだろう。
歯科医業界で生きていくためには、何も歯科治療の技術力だけで
勝負する必要はない。自ら新しい市場を生み出し、そこに
一番先に参入してしまえば、戦わずして、一番になれる。
これからの人材に求められるのは、視点の鋭さと発想力。
そして、そのアイデアを実現させるのが、組織力や資金力。
アイデアを持つ人材と、それに賛同する企業が手を組む。
すでに、それは雇用関係ではなく、対等なビジネスパートナー
としての位置付けである。新しいBtoCの形かもしれない。
(次回につづく。)
presented by
幸せなサラリーマンになる方法
※この記事は、人気メールマガジン《幸せなサラリーマンになる方法−気づきの視点と発想力》の著者により提供されています。(C) Copyright 2004 無断転載を禁止します。コメント、トラックバック等はご自由にどうぞ。