今後、会社が社員をつなぎとめておくために
必要なものは、給料や福利厚生よりも
「その会社で、どんなスキルが学べるか?」
が重視される時代が来る。
しかし、だからと言って、新卒の学生に対して、
いきなり「我社で学べるスキルは・・・」
と語りだしても、社員を集めることは難しいのも事実。
なぜなら、新卒の学生には、
「その会社で、どんなスキルが学べるか?」
まで考える余裕が無いからだ。
学生という、ある意味「親に守られた環境」から、
「社会人」という荒波の世界に挑んでいく時、
一番最初に心配になるのは、衣食住である。
つまり、マズローの段階的欲求の理論に従うならば、
まだ、住むところや、家賃、毎日の食費が
安定していない状態では、とてもじゃないが、
将来の夢とか、スキルアップとか、自己実現については
考える余裕は無い、ということになる。
だとすれば、新卒採用時の求人においては、
やはり、給料やボーナスの待遇、そして
福利厚生面での充実度、さらには、
社内の人間関係、組織の良好さ、などを
アピールすることになる。
そして、そのような「恵まれた環境」を提供できる
会社には、多くの「成績の良い」学生たちが集まる。
だから、大企業や上場企業は、寮・社宅の充実化など、
福利厚生にも力を入れざるを得ない。
そして、そのような恵まれた環境で、安定した衣食住を
手に入れた社員たちが、入社3〜5年後、次に求めるのは
「やりがい、将来の夢、スキルアップ、自己実現」
という、精神的な欲求である。
これに会社がこたえることができるか?
が、若手社員の流出防止の鍵になるのだ。
一方、中途採用、再就職の場合、
就職希望の社員は、はじめから、福利厚生を期待していない
場合が多い。
なぜなら、一度、前の会社を辞めている時点で、
「次の会社では、条件が悪くなるかもしれない」
ということを覚悟した上で、再就職に挑んでいるからだ。
そして、前の会社で数年間働いた経験から
「別に、ぜいたくを望まなければ、どんな会社でも、
最低限の生活は保証されるのだから、
倒産でもしない限り、衣食住に困ることは無いだろう」
というのも、十分に理解している。
つまり、次の会社に求めるものは、
夢、やりがい、スキルアップ、自己実現なのだ。
「せっかく転職するのだから、
今度は、本当に自分がやりたい仕事をやろう!」
と、誰もが考える。
転職活動とは、つまり「自分の人生の棚卸し」でもあるからだ。
だとするならば、優秀な中途採用社員を雇いたければ
福利厚生面や給与面での充実化を訴えるよりも
「会社の業務を通じて、なにを学べるのか?
そして、そのスキルは、10年後、どのような
業界で通用する(役に立つ)のか?」
というメリットを全面に押し出して
アピールするほうが、自然な流れではないか?
もし、中途採用で、福利厚生面を重視するような
希望者がいるとすれば、その人は
「前の会社よりも、待遇が良いところ」
を探しているに過ぎない。つまり、
そのような人材を採用しても、もっと
待遇の良い会社を見つけたら、簡単に
転職されてしまう、と考えるのが自然だ。
だとすれば、
「うちは給料は安いし、社宅も無いけど、
仕事のやりがいとか、学べるものは大きいから」
という言葉に反応する社員を集めたほうが、
本人のためにも、会社のためにもなるだろう。
新卒採用は、待遇重視。
中途採用は、スキルアップ重視。
雇われる側も、そのような視点で、
転職先あるいは、今の会社を見つめなおしてみると、
また、新しい発見があるかもしれない。
(次回につづく。)
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