会社は、自己実現欲求を満たす場所ではない。
この事実に気づかないと、会社の中で、
便利な人間としと、コキ使われることになる。
今から二年ほど前、私の勤務先で、社内ベンチャー制度
なるものが制定された。
これは、つまり、社内でなにか素晴らしいアイデアが
あるのならば、それを、社長承認まで通せば、
最大5千万円まで予算化するというものだ。
しかし、現在では、その制度は、見る影も無い。
そして、その制度に対して、名乗りを上げたものは、
誰一人として、いなかった。
つまり、だれも手を上げなかった。
なぜ、上層部が、このような制度を作ったのか?
優秀な若手社員の流出を防ごうとしたのか?
皮肉なことに、その制度が制定されると同時に、
35歳〜40歳の層に対して、転身制度という名の
事実上のリストラが強行された。
まあ、リストラと言っても、待遇は、かなり良いほうだっただろう。
なぜなら、二年分の年収が、退職金として保障される上に、
再就職先まで確保されていたからだ。
再就職先は、取引先(下請け)の企業。
これを、企業間の天下りと呼ぶのだろうか?
下請け企業にとってみれば、一人ぐらい、お荷物を背負っても、
そのお荷物の同期が、取引先の上層部にいるとなれば、
やはり、今後のコネクションの確立にも、有利であることはまず
間違いない。大規模インフラ基幹システム開発企業間には、よくあるパターンだ。
このような、非常識な転身制度のために、
これまで、せっかくバブル期に貯めてきた、会社の貯金を
ぜんぶ使い切ってしまったから、さあ大変。
残された若手社員(25〜30歳)に対して、
上層部は、何を求めたのだろう?
おそらく、次のような構想に違いない。
『君たち、若い諸君。
直属の上司が、みんないなくなったからといって、
遊んでいてはダメだ。
これからは、言われた仕事だけやってもダメなのだよ。
自分から、提案しなければな。
だから、ベンチャー精神をもちたまえ。』
で、取って付けたような社内ベンチャー制度。
社内通達メールに対し、私を含む、若手社員たちは、
冷たい視線。「また今度は、何を言い出すかと思えば・・・」
という、しらけた気持ちで溢れていた。
これまで貯めた貯金を使い果たしてまで、
35〜40歳の無能社員を切った。
彼らには、ベンチャースピリットが無かった。そりゃ仕方ない。
今まで、求められなかったのだから。
だからと言って、今度は、さらに若い層に
「何か新しい、売れるものを考えろ!」
と言われても、誰が、手を上げるだろうか?
一番の問題点は、たとえ優れたアイデアがあったとしても、
それを社長に通すまでには、
提案者 → 係長 → 課長 → 部長 → 本部長 → 事業部長
という、分厚い層があった。
つまり、例えば、27歳の若手社員が、斬新なアイデアを
思いついたとしても、それを、まずは、
係長および課長(35〜40歳の層)に
通さなければならない。
しかし、35歳〜40歳の層は、冷たい反応を示す。
だって、つい最近、自分の同世代が、リストラされたばかり。
自分は運良く残れた。それでいいじゃないか。
その上、社内ベンチャーだと?? ふざけるな。
そんなことに、俺を巻き込むなよ。
若い社員は、大人しく、ルーチンワークでも、やっておいてくれよ、まったく。
たしかに、その考え方も、一理ある。
誰だって、会社の利益より、自分の身の安全を心配するに決まっているからだ。
しかし、そんな上司の壁を破ろうとして、必死にアイデアを
搾り出している若手氏社員は、一気にやる気を失う。
若手社員自身も、アイデアだけで簡単に成功するような
甘い世界でないことは、十分に分かっている。
だからこそ、まずは課長、部長の指示、見解を求めるという
制度にも一理あると納得しているし、
経験豊かな先輩方の意見も、聞きたいと願っているのだ。
しかし、現実は厳しい。
上司との温度差に気づき、空しさを確信する若手社員。
「やっぱり、何も言わないほうが無難だった。」
こうして、若手社員の自己実現欲求は、
社内の下層のほうで、ことごとく潰される。
上層部の思惑とは、裏腹に。
だからこそ、若手社員は、会社の中で、
上司を説得しようとしてはいけない。
それが「社内で自己実現欲求を満たそうとしてはいけない」
という意味である。
では、それほどベンチャースピリッツに溢れた若手社員は、
このまま、社内で飼いならされ、大人しく犬になるしかないのだろうか?
いいや、そんなことは無い。
今の時代だからこそ、会社のメリットを利用し、
自らのベンチャースピリットを、さらに鍛えることができる、
すばらしい時期が来た!と、喜ぶべきなのだ。
その理由は・・・
(次回につづく。)
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