大和賢一郎(著)1300円 ISBN4-479-79131-0 大和書房
巻末付録「絶対後悔したくない退職準備マニュアル」付き!!

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情報漏洩の問題が深刻になりつつある。
winnyなどのファイル交換ソフトを経由して
顧客データが流出するなどのニュースは後をたたない。
USBメモリの問題も厄介だ。
最近では使用そのものを禁止している企業も増えてきている。
そもそも、インターネットは「情報を効率よく伝達するためのインフラ」である。
しかし、その伝達が過剰になると「伝達させたくない情報」まで
広まってしまう。そこに大きな矛盾があるのだ。
政治的にも、ITインフラの普及を重要視していながら、
同時に「個人情報保護法」などの法整備も欠かさない。
これらは一見すると矛盾しているように感じる。
だが、いかなる状況においても「その勢いを抑止する抵抗勢力」は必要である。
かつて、自動車がはじめて公道を走り始めた時代。
当時は運転者も製造者も「自動車の性能が上がることによって
人身事故が増える」なんてことは、まったく心配していなかったかもしれない。
ただ『便利な道具』を追い求めて、もっと速く、もっと簡単に操作できる
自動車を追い求めた。
そして、途中で気づき始める。
「交通事故の死者を減らす」という新たな課題の発生に。
エンジンの性能を上げたのならば、それに比例してブレーキの
性能も上げなければならない。当然のことだ。
アクセルとブレーキ。
インターネットでいえば「高速回線、簡易接続」と
「情報セキュリティ対策」のバランスを保つということだ。
今でこそ、消費者は自動車を買うとき、当然のように
「安全対策機能」を考慮する。
エアバックやABSがついていない自動車は、
たとえ安くても敬遠するはずだ。
PCやUSBメモリも同様に、
今後は「安くてもセキュリティ機能がついていない製品は買わない」
という文化が広がるだろう。
そのため、製造メーカーとしては、安全性(つまり情報の機密性)
を意識した商品を造らざるを得ない。
このような「セキュリティ意識の高さ」を浸透させるためには
個人情報保護法のような法整備は欠かせないし、
それに付随した企業の対策もあってしかるべきだ。
自動車の登場に合わせて「道路交通法」が整備されたのと同じように。
法律、窮屈なルール。
それらはときに「束縛」であり「厄介なもの」に感じる。
しかし、そのようなブレーキがなければ、私たちは危険な領域に
暴走してしまうのも事実だろう。
「加速を早く、しかも停止も早く」という矛盾したような要求に
どう応えるのか? それが技術者の腕の見せ所ともいえる。
国民の意識の変化に対応した製品を、いかに低コストで提供できるのか?
そのために、製造メーカーは技術力を高めていかなければならない。
事実、ITの現場で働いているサラリーマンは、
セキュリティ管理の厳しさに嫌気が差しているところもあるだろう。
ノートPCの持ち出しなどは、紛失のリスクを伴うので
誰もがやりたくないのだが、出張などで業務上必要ならば仕方ない。
この「やらざるをえない」という状況で働くとき、
私たちは何を感じるべきなのか?
業務の効率性と、情報の機密性。
この相反する2つの要求を満たすために、
悩みぬいた結果、新しい商品やサービスの
糸口が見えてくるはずだ。
インターネットの利便性を失わないまま、
かつ個人情報の保護を強化する方法。
さらには運用者の手間を増やさないようにするには?
これらの問題をすべて解決する手段、
それを現在、多くのITセキュリティベンダーが模索している。
近い将来、これが完全に解決できれば、在宅勤務が広がる可能性も
十分に期待できる。社員が自宅で仕事をしても、情報の機密性が
完全に守られるならば、もはや「出勤するコストをかけること」を
好む企業は少なくなるはずだ。
具体的には、VPNなどのネットワークセキュリティ技術を
使うことで、自宅と会社をプライベート環境として接続することは
可能だ。あとは運用とコストの問題さえ解決できれば、実用化は難しくない。
1995年から2005年までの10年、
インターネットは爆発的に普及したわけだが、
利便性ばかり強調されて、セキュリティに関しては
それほど問題視されていなかった。
そして2006年、これからの10年は、
「安全性つまりセキュリティ重視」の10年になるだろう。
自動車の安全性能が向上して交通事故が減ったのと同じように、
インターネットのインフラでも「安全性を向上すること」により
情報漏洩事故は確実に減らすことができるはずだ。
そして、本当に「安全」で「高速」なインフラが整備されたとき、
サラリーマンの業務形態も大きく変わる。会議さえIPテレビ電話で
できる時代。もはや「出勤」とか「定時間」という概念さえなくなるかもしれない。
インフラの進化は、労働条件の変化をも引き起こす大きなインパクトを与える。
今後10年、その動向を見守りつつ、私たちサラリーマンは自分の仕事、
働き方を見つめていく必要があるだろう。
(次回につづく。)
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