大和賢一郎(著)1300円 ISBN4-479-79131-0 大和書房
巻末付録「絶対後悔したくない退職準備マニュアル」付き!!

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在宅勤務を現実のものにするためには、その前提として
「仕事のプロセスを細分化して明確にする」ことが欠かせない。
業務分野によっても異なるだろうが、一般に、すべての仕事は
次のような視点で分類できる。
1.「デスクワーク」かどうか?
2.「個人で完結する」かどうか?
たとえば「外回り営業」はデスクワークではない。
だが「営業戦略に関する検討資料の作成」はデスクワークである。
このように「営業職」という仕事も「デスクワークか否か?」で
分けられるのだから「デスクワークのみ在宅勤務で可能」という
考え方も成立する。
では、IT系の開発業務の場合はどうか?
「プログラム開発」は基本的にはデスクワークである。
ただし、大規模な設備を必要とするシステムでは、
LANを経由してそのシステムに接続しなければ
開発は行えない。つまり「パソコン1台で完結するプログラム開発」
はデスクワークだが、「システムと連動したプログラム開発」は
完全なるデスクワークとは言いがたい。
しかし、その分類を明確にし、たとえば「月から木に在宅勤務で
作ったプログラムを、金曜にシステムにインストールする」というような
作業プロセスを構築できれば、在宅勤務を適用できる可能性は十分に
あるだろう。また、プログラム開発には「設計書」や「仕様書」などの
文書(ドキュメント)も必要になる。そのような作業はワードやエクセルを
使う事務的なものであるから、完全にデスクワークとして切り離すことは
難しくない。
ただし、食品開発や薬品開発の現場では、
「開発業務そのもの」を在宅勤務で行うのは難しいのかもしれない。
私はその分野に関しては疎いが、大型の機械や専門の設備、
あるいはクリーンルームなどの装置がなければ開発はできないのではないだろうか。
だとすると、やはり「資料作成」などの作業のみを
切り離すしかない。極論を言えば、会社には「専門設備」
だけがあればよく、事務所は不要ということだ。
事務所でやるパソコン作業は、最終的にはすべて在宅化できるはず。
だが「資源」の問題は残る。たとえばプリンターなどの資産は、
会社の事務所でなら全社員で共有できるが、個人家庭においては
1台ずつ必要になる。そのような設備面でのムダや重複を考えれば、
「紙による印刷」を極力避け、文書はすべてPDFにしてメールで
送受信するべきかもしれない。
そして「業務プロセス」を細分化することは
「それぞれのプロセスにおける責任分担と成果物を明確にすること」
にもつながる。この考え方はとても重要である。
なぜなら、在宅勤務は「勤務時間」ではなく「成果」で評価されるべきだからだ。
時間をフレキシブルに使える分、結果はきちんと出す。そのためには
「何を、どこまでやればいいのか?」をはっきりさせなければならない。
良くも悪くも、日本の企業は、この点を曖昧にしているケースが多い。
そこには「成果主義が正常に機能しない」という問題も関係しているのだが、
いずれにせよ「時間ではなく成果で計る」というシステムに変えていかなければ
無駄な残業が減ることはないだろう。「残業代で稼ぐ」という考え方を
根本から直さないかぎり、人件費が経営を圧迫し続けることは必至だ。
つまり「在宅勤務を目指すこと」は「仕事の成果とは何か?」を改めて
問い直すことと同意なのである。仕事を細分化して「外注」できるということは、
それだけ「最終結果に至る各プロセスが明確になっている」ということだからだ。
これからの管理者に求められるスキルは
「人を管理する能力」ではなく「プロセスを管理する能力」である。
社員がサボらないように監視している時代は終わった。
今後必要とされるのは「結果を確実に出力させる能力」なのである。
(次回につづく。)
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