駅前の路上で、ビラを配っている人たち。
私たちが歩いていると、『取れ!』と言わんばかりに、
目の前に差し出してくる。
あのような態度に、腹立たしい思いをしたことがある人は多いだろう。
しかし、無視するのも、なんだか可愛そうな気がする。
だから「義理」で受け取ってしまうのだが、3秒後にはゴミ箱行きだ。
おそらく、儲かっているのは広告代理店だけだろう。
一方「ティッシュ配り」はどうか?
町を歩いていて、たまたま「ティッシュが必要」なときには、
なかなか重宝する。つまり、受け取る側も、喜んで受け取ることがある。
しかし、そのときの、受け取る側の心理としては、
「ティッシュが欲しいだけ」であり、チラシの内容はどうでもいい。
つまり、完全に「自己中心的な理由」において、ティッシュを受け取っている。
それが現実なのだ。広告する側の都合なんておかまいなしだ。
私たちは、何か行動を起こすとき、
「その行為が、自分に対して、どのようなメリットをもたらすのか?」
を最優先に考える。つまり、相手の都合を最初に考えることなんて有りえない。
ここで言う「行動」には、
・相手の広告を見てあげる
・相手の話しを聞いてあげる
・相手の書いたものを読んであげる
なども含まれる。
ビラ配りは、その広告が受け手にメリットをもたらさなければ、
受け取る意味は無い。だが、ティッシュ配りは、ティッシュがもらえるという
メリットがある。だから、ついでに「相手の広告を見てあげる」のである。
これは、宣伝・広告の原理原則である。
だが、この事実を理解していない人たちは、
いきなり「私は○○!」という主張から入ってしまう。
・このたび、私は新製品を開発しました!
だが、その新製品が、相手にどのようなメリットを与えるのかが
明確でない限り、だれも反応してくれないのが事実。
顧客は「作り手の都合」なんて知らないのである。
ただ「自分にどんな得があるのか?」だけが知りたいのである。
そしてこれは、商品販売だけに限ったことではない。
例えば、会社設立。
最近、起業ブームで「会社を立ち上げること」が1つのステータスに
なっている。だが、ただ「立ち上げただけ」では、そのメリットは
お客には伝わらない。
・このたび、私は有限会社○○を設立しました!
残念ながら、顧客からすれば『だから、どうしたの?』と聞きたくなってしまう。
『あなたが会社を作ったところで、私にはどんなメリットがあるのかしら?』
というのが、正直、素朴な疑問なのだ。
だから、会社設立をアピールする場合も、
・私は、○○でお困りの方をサポートするビジネスを立ち上げるために、
このたび、会社を設立しました。
という切り口で書かなければ反応は得られない。それが現実なのである。
個人事業主や、インターネットビジネスのオーナーは、
この現実をよく理解しているから、一方的な売り込みはしない。
つねに「この情報は相手にどのようなメリットを与えられるか?」
を考えている。逆に言えば、それを考えることが宣伝行為そのものであり、
最高のPR戦略なのである。
だが、サラリーマンがいきなりインターネットを始めると、
この現実に気付かないまま、ネット上での情報発信を展開してしまう場合が多い。
いきなり『私は○○!』という主張から入ってしまうのだ。
私自身も、過去、そのような体験をし、失敗した時期があった。
バンドでインディーズCDを売ろうとしたとき、
『私はバンドをやっています。CDを作りました。聞いてね!』
というような、一方的な自己主張の情報発信をしていた。
だが、今なら分かる。こんなキャッチでは、誰もCDを買うはずが無い。
売り方の基本は「あなたがこの商品を買うと、どんな嬉しいことがあるか?」
を相手に伝えることである。だが、音楽の場合、それが表現しづらい。
だから、音楽ビジネスはマスメディアで広告に投資できる大企業の
ビジネスモデルなのだ。テレビや映画とタイアップしなければ大ヒットは生み難い。
つまり、音楽CD販売は、ブランド力と影響力のある会社がやるからこそ
成功できるのであり、儲かるのである。
インディーズの成功パターンも、最終的にはメジャーに行くというのが王道である。
サラリーマンは、普段の仕事において、会社のブランドを利用しているから、
特に「お客様のメリット」を訴求しなくてもいいことがある。
お客様が既に、ブランドを信頼し、説明しなくても分かってくれているからだ。
だが、週末起業や個人事業となれば、話しは別。
まったく無名の、ブランドの無い個人から、いきなり商品を買おうとする
人は、そう多くは無い。その現実を直視し、お客様のメリットにフォーカス
できる人間だけが、起業しても成功する。
まとめると、個人事業レベルのビジネスモデルにおいては
「私は○○」ではなく「あなたは○○」という観点で、
つねにマーケティング戦略を考えなければならないということ。
『このたび我社は新車○○を発表します!』というフレーズが許されるのは、
トヨタや日産などの大企業だけである。
これと同じ事を個人でやろうとするから失敗する。
成功したければ「相手の都合を一番に考える視点」を持たなければならないのだ。
(次回につづく。)
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