どんなに優れた社員でも、初めて経験する仕事を
いきなり初日から「完璧に理解してこなすこと」は難しい。
人間には「慣れるまでの時間」が必要不可欠だからだ。
新車でさえ「最初は慣らし運転」をするのだ。
マシンでさえ、いきなり本領を発揮するのは無理。
だとすれば、人間には、自分で考えている以上の
「慣らし期間」が必要であるとも言える。
先日、私は夜間のフライトで飛行機に乗った。
飛行機は、夜間の離着陸時、機内の照明を落として暗くする。
この行為について、私は最初
「離着陸時は電力を消費するから、バッテリーを節約するためか?」
などと思っていたが、実際にはまったく違う理由があるようだ。
離着陸時は、もっとも事故が多い時間帯でもある。
もし、夜間、着陸直前に事故が発生し、機体が海に
墜落したとしたら、どうなるか?
周りは海。照明は一切無い。飛行機の機能は停止し、
明かりはまったく点かない。そのような「真っ暗闇」の
状況で、乗客は何も見えず、パニックを起こすのだと言う。
つまり「離着陸時に機内照明を暗くしておく」ことにより、
乗客の目を「暗いところ」に慣らしておくのが目的なのだ。
そうすれば、万が一事故が発生したとしても、非常口を
すばやく見つけることができるので、パニックが起きる可能性は低くなる。
「慣れ」の度合いは、必ずしも「優秀さ」に比例するものではない。
自分の力を過信して「俺は暗闇でも見える」なんて余裕をかましていると、
いざというとき、足元をすくわれるのだ。
逆に、多少「優秀ではない」部分がある社員でも、
同じ仕事を継続的にこなしていれば、慣れてきて、
その効率は、確実に向上するのである。
「長くやっているからこそ、慣れているからこそ見える部分」
もたくさんある。慣れるまでは「慣れること」に精一杯で
視野が狭くなってしまうことがあるが、一度慣れてしまえば、
余裕が生まれ、仕事も楽しくなってくるものだ。
つまり、誰でも「いきなり暗闇が訪れるとパニックを引き起こす」
という可能性があることを認識しなければならない。
新しいプロジェクト、新しい職場、または転職先で、
予期していなかった事態に遭遇した場合。
そんなときは、焦らずに、まず「目を慣らすこと」に集中する。
そうすれば、瞳孔が自然に開き、やがて全体が見渡せるようになるのだ。
要領の悪い社員は、初めて任された仕事に対して
「これはできません。まったく見えません。私には無理」と逃げてしまう。
しかし「見えない」のは、自分が無能だからではなく、ただ
「慣れるまでには時間がかかるから」なのである。そのことを忘れてはならない。
(次回につづく。)
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※この記事は、人気メールマガジン《幸せなサラリーマンになる方法−気づきの視点と発想力》の著者により提供されています。(C) Copyright 2005 無断転載を禁止します。コメント、トラックバック等はご自由にどうぞ。