大和賢一郎(著)1300円 ISBN4-479-79131-0 大和書房
巻末付録「絶対後悔したくない退職準備マニュアル」付き!!

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今年、個人情報保護法が施行されてから
何らかの経済的あるいは事務的な影響を受けた企業は
少なくないだろう。
たとえば大量の顧客データを管理している法人ならば
それらを守るために新たな設備投資を強いられたかもしれない。
またはプライバシーマークの取得にあたり、コンサルタントの
費用を捻出せざるをえないところもあっただろう。
この法律のおかげで恩恵を受けた人がいる分、
それにともなう出費を負担した人がいるのだ。
そして社員は「面倒な手続き」を強いられたかもしれない。
機密情報を必ずシュレッダーにかけるように徹底され、
かつ持ち出しにも複雑な手続きが必要になったなど、
日々の業務に多少なりとも影響は出たはずである。
当然のことながら、個人データを守ることは
企業の義務であるから、企業はそのために投資をし
社員を教育しなければならない。
だが、どんなに企業が個人情報保護にエネルギーを注いだとしても
それは「個人情報の漏洩がゼロになること」を意味するわけではない。
もちろんゼロに近づけることは可能かもしれない。
だが、システムの強化だけでは守りきれない面もある。
たとえば社員が故意にデータを流出させるようなケースでは
どうやっても防ぎようがない。どんなに強固なパスワードを
設定しても、そのパスワードを管理している人間がその気になれば
いつでもデータを持ち出すことは可能なのだから。
では、そのような現実をふまえて、私たちユーザは
どのように対応していけばいいのか?
1つ言える事は
「情報漏洩に対して、あまりにも過敏になりすぎないほうがいい」
ということではなかろうか。
これは「抗菌ブーム」に似ている。
野外に出れば、いたるところで繁殖している雑菌。
空気中を飛び回っているウイルス。
私も花粉症のつらさはよく知っている。
だから「菌」などの目に見えない存在に対して
過敏になる気持ちはよくわかる。
だが、無菌状態で育った子供が
将来たくましく生きていけるか?
というのも、大きな問題の1つだ。
つまり、幼少期からあまり外に出ないで
空気清浄機のある部屋の中に閉じこもっていたら
どんな大人になるのか? を心配しているわけだ。
私自身、子供の頃は虫や爬虫類を素手でつかまえて
遊んでいた経験がある。その手を洗わないまま
お菓子を食べていたかもしれない。今考えれば
そのような雑菌だらけの生物を素手で触ること自体
考えられないが、今でも健康な体を維持している点ではとくに問題ない。
では情報漏洩はどうか?
どんなにがんばっても、それをゼロにできないのだとしたら
「漏洩した後、発生しうる問題に対する抵抗力」
をつけておくのも大切なことだと私は考えている。
たとえばスパムメールを的確にフィルタリングするスキルもそうだし、
あやしい勧誘やキャッチに騙されない目を養うことも大切。
つまり「菌そのものを撲滅」することと同じぐらい
「菌に対する抵抗力」をつけることも大切なのである。
そしてもう1つ大切なことがある。
それは「菌を恐れていては大自然では遊べない」
ということだ。つまり、虫や魚と遊んだりする楽しみが
人生において得られないということ。それはそれで
大きなデメリットの1つではないか?
情報漏洩についても、たとえば
「情報漏洩が気になるから住所氏名は一切書かない」
というポリシーで、いわゆる「ポイントカード」や
「アンケートはがき」の類にはいっさい目を向けなかったとする。
それはそれで安全かもしれない。だがポイント還元の恩恵
を受けられないのはもちろん「本当に有益なお知らせ」の
情報さえも排除してしまうというデメリットを忘れてはいないだろうか?
サラリーマンの立場で言えば、
・会社員として、顧客の個人情報を守る立場にある
のと同時に
・自分自身の個人情報を世の中にどう提供していくか?
も意識しなければならない。
そうすることで「もし漏れたとしたら、どんな影響が出るのか?」
を事前に予測することも可能になる。
21世紀は「情報の社会」。
情報の扱いを考えることは、
私たちが普段「食品の安全性」や「薬物の取り扱い方」
を考えるのと同じぐらい大切になっている。
道具も情報も「使い方次第」で善にも悪にも
なるのだから、その点を私たち一人ひとりが
再認識しなければならないのだろう。
(次回につづく。)
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