「親は無くとも子は育つ」という言葉がある。
親が心配しているほど、子供は無力ではない。
自分でどんどん新しい知識を吸収し、驚異的なスピードで
成長する。
この現象は、新入社員にも同じことが言える。
新人研修で、先輩や上司は、できるだけ多くのことを
教え込もうとしてしまう。あれも教えたい。これも教えたい。
しまいには、自分が新人の頃、出来なかったような無理難題まで
押し付けようとする。いわば、イチロー選手が、リトルリーグの
選手に「数万人の観客の前でも緊張しない精神力を身につけろ」
というようなもの。
だが、そのようなスキルは、1日や2日で身に付くものではない。
何年も、長い間、経験を積んで、はじめて蓄積されるのだ。
だが、そのような先輩の心配をよそに、
新入社員たちは、どんどん新しい情報を独自に吸収し、
また、人脈についても、独自のネットワークをすぐに
構築してしまう。若いがゆえに、そのスピードも驚くほど早い。
それはやがて「いつの間に、こんなに成長したのか?」という
驚きを与えると同時に「追い越されたかもしれない」という
恐怖心も生み出す。
芸能界やスポーツ界においては、特にその傾向が顕著に表れる。
若手芸人や高校生プレーヤーが、どんどんと進出し注目される時代。
新しい知識というものは、ある集団の中で、突発的に
発生するものである。つまり、情報は、必ずしも上から下に
流れるものではないと言うこと。
ここで言う「上から下へ流れる」ということの定義は、
『すべての情報は、先輩から後輩に流れる』ということ。
だが、そんなはずはない。
たしかに、昔からの風習や文化、仕事の基本などは、
上司や先輩、親や教師から教わる部分が多い。
そもそも、教科書という情報源は、自分より年上の人間
が作るわけで、それは必ず「上から下に流れてくる情報」
という定義に合致する。
だが、いわゆる「若者言葉」のように、
ある日突然、まったく振って湧いたかのように、
新しい情報や考え方が生まれることはよくある。
つまり、情報というものは、
上から下に流れるもの以外にも、
ある場所で突発的に湧き出すものもあるのだ。
それはまるで温泉の源泉のように。
次のような言葉がある。
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新しいアイデアとは、
新しい場所に置かれた、古いアイデアのことである。
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従来の手法を基本とし、少し切り口を変えてみる。
観点や視点を変えてみる。アレンジしてみる。
上から下に流れてきた教科書的な情報をもとにして、
それを若い世代の視点で、独自にアレンジすると、
そこでまた、独特の文化が発生する。
それが、新たな消費を喚起し、市場の拡大を促す。
情報が価値観を変え、価値観が新たな市場を生み出すのだとしたら、
「新しいアイデア」が生まれる場所には、必ずビジネスチャンスが
発生することになる。
上から下に流れる情報の海流。
其の中で、一見すると、よどんだような海流。
だが、その中にこそ、高い栄養分を持つプランクトンが、
大量に発生する可能性もある。
となると、ビジネスで成功するためには、
「上から下への情報の流れ」と
「突発的に発生する海流」を同時に
見きわめるスキルが求められる。
それを見逃さずに冷静に理解できたものだけが、
数少ないチャンスをモノにすることができるのである。
(次回につづく。)
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