なぜ今、多くの会社で、若手社員のモチベーションが、
どんどん下がっているのか?
高度経済成長期、年功序列のモデルは、
「後で取り戻せる」という考え方に基づき、
それが、若い社員たちのモチベーションを高めていた。
つまり、若い時に、安い賃金でこき使われていたとしても、
いずれ、15年後、25年後には、
「今より仕事量は減るが、給料は増える。つまり楽できる。」
という、大いなる理想が、見えていたのだ。
そして、事実、そのような理想的な姿を実現させている
上司、管理職の姿を毎日見ながら仕事をしているのだから、
自然と「俺も、いつか、あんなふうになる!」という
目標になっている。
つまり、その目標こそが「上司への無条件の崇拝」という
幻想を生み出し、それを、日々の仕事への活力にしていた。
現在、40代管理職の領域まで達している人たちは、
ある意味、そのルールを忠実に守ってきた人たちだろう。
まだリストラされておらず、退職金もきちんともらえると言う
保証があるならば、それは間違いなく「サラリーマンとして成功した」
と言える。
いずれにせよ、「後で取り戻せる」という将来性が見えなければ、
若い社員のモチベーションが上がるはずがない。
それは、現在の若手社員にも当てはまる。
1973年から1980年に生まれて、現在、
入社3年目〜7年目ぐらいの若手社員の場合、
1990年代後半に入社した社員には
「なんとなく、年功序列は、まだ残っているような気がする」
という状態で入社した人が多い。
しかし、2000年以降に入社した、いわゆる「まだ新人」
と呼ばれている領域の人たちは、
「既に、年功序列が崩壊し始めている」という現象を、
切実に、感じ取っているのだ。
となると、「後で取り戻せる」という感覚は皆無。
もしくは「あきらめ」という感情に変わる。
それこそが、会社に対する忠誠心を下げている、最大の要因である。
そもそも、忠誠心とは、最初から存在するものではなく
「育てられる」ものである。
しかしながら、現在の管理職層が、若手社員に対して、
「これからは、成果主義の時代だから、
お前たち若手社員が、俺たち管理職と同じ年になったとしても、
俺たちが今貰っている給料と同額を貰える保証は無いんだよ。
でも、俺たちはこれまで、年功序列で賃金が上がってきたから、
それは、そのまま維持させてもらうけどね。
まあ、若いうちは、給料が安くても、社会勉強だと思って、
一生懸命、死ぬ気で働きなさい! わかった?」
というような、ある意味「宣戦布告」を仕掛けてきた場合、
若手社員は、どのような行動を取るか?
間違いなく、多くの社員は、個人主義に走る。
となると、これまでの高度経済成長を支えてきたチームワークを
支えることは難しい。根本的に価値観や文化が変化しているのだ。
そこで、アウトソーシング事業が拡大しているという点も
頷ける。事実、私が現在働いているIT業界でも、
あるプロジェクトにおいて、8割以上のエンジニアは、
アウトソーシングによる外注派遣社員である。
つまり「若手社員なんて、誰でもいい。
社員だろうが、派遣だろうが、
言われたとおりに、言われたものを作る能力があれば、
必要な時だけ、レンタルすればいい」
という考え方だ。
このような時代の変化を、敏感に感じ取っている若者世代は、
もはや、会社と自分との関係が、高度経済成長期、
つまり、自分の親の世代のときほど、密接でなくなっている
ということを、理解し始めている。
現在は、その「大いなる価値観の変化」の過渡期にある状態だが、
2011年頃までには、この現象は、さらに具体的に見えてくるようになる。
それは「若手社員の発言力の強大化」である。
若手社員は、自分たちの技術や労働力が、
会社の利益を支えていることを知り、
さらに、その利益が、管理職の高い給料を支えていることを知る。
しかも、将来、自分がそのような立場になれるという
保証が無いことを知ると、もう会社や上司に対して
忠誠を誓う必要が、まったく無いのだと、感じるようになる。
すると「今の人生を楽しむ。やりたいようにやるんだ。」
ということを重視する考え方が浸透し、
チーム内での、上司と部下の関係は、
よりドライで、殺伐とした雰囲気に変わってくるに違いない。
問題は、そのような雰囲気に変わりつつあるとき、
そのときの、管理職、チームリーダーが、
どのように、チーム内のメンバーをまとめていくか、
である。そのスキルこそ、これからの大企業が生き残る
ためのキーなのである。
それは、言わば、
「学級崩壊の小学生たちを、黙らせることができる教師がいない学校は、
もう潰れるしかない」
という現象のようなものなのだ。
(次回につづく。)
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