退職、転職を考えるきっかけとなるのは、
今の勤務先への不満が大きくなったときだろう。
しかし、その不満の原因が、必ずしも会社の方向性や
仕事の内容にあるとは限らない。
むしろ、職場での人間関係のほうが、
自分を退職へと向かわせる大きな要因になるのでは
ないだろうか。つまり、人間関係の悪化こそが、
職場への不満の根本的な原因である。
特に、部下にとって、上司という存在は、
頼りになるものでもあり、また同時に
うっとおしい、厄介モノでもある。
部下が「どうやって上司と上手く接するか?」
は、業界、業種を問わず、会社組織においては
永遠のテーマであることは間違い無い。
一方、上司もまた「部下の扱い」に悩んでいるのは事実。
特に、自分とは年齢が離れすぎている場合、
どのように接していいのかが分からないで
逆に上司の方が気をつかい、悩むケースもある。
例えば、新卒入社の新人が、研修期間を終え、
6月頃になって、各職場に配属されてきた場合。
当然、いきなり仕事をさせても、戦力になるはずがない。
だから、まずは職場になれさせることが大切だという事実は
上司の側も分かっている。でも、具体的にどう接するのかが
分からないから、いきなりマニュアルを渡して
「これを読んでおいてくれ。分からない事があれば聞いてくれ」
みたいな対応になってしまう。
当然、新人は言われたとおりにマニュアルを読むのだが、
業界用語や専門用語が多すぎて、まず読む時点で
「わからないことだらけ」な状況に陥ることは
目に見えている。でも「何を質問すればいいのか、
何を自分で調べればいいのか」が、新人には判断できない。
結果として、質問もしないし、理解もできていない、
という状況に陥る。
このような場合は、まずはバイトにでも出来るような
簡単な仕事(資料作成や整理などの雑務)を体験させ、
実際に「仕事をした」という実感を与えてあげることの
ほうが重要なのだが、上司と部下の間に「心理的な距離」
があると、上司の方も「いきなり仕事をさせるのはちょっと・・・」
という抵抗感を抱いてしまう。
つまり、部下が上司を悩みの種にしているのと同様に、
上司もまた、部下が悩みの種になっているのだ。
となると、このような「職場での上下関係」から
開放されるためには、独立して一人でやっていくか、
もしくは、すべてアウトソーシングでまかなうしかない。
作家など、一人で完結する仕事の場合、
原則として、部下はいない。アシスタントはいるだろうが、
何をやってもらうかは明確になっているはずだ。
出版社や編集者との付き合いもあるが、
それは「上司と部下」のような上下関係ではないので、
基本的には「ビジネスにおける対等な立場」として
付き合うことができるだろう。
だが、独立して自分が社長になったら、それはサラリーマン時代と
同じく「組織の人員とどう接していくか?」という問題を
突きつけられることになる。
自分の立場が上になったとしても、下との調整から
開放されるわけではない。
むしろ、経営者という責任がのしかかるので、
サラリーマン時代の上司と部下の関係よりも、
さらにシビアな調整が要求されるだろう。
では、これからのサラリーマンは、
会社組織において、いかにして人間関係を
円滑に進めていけば良いのだろうか?
究極的に言えば、答えは「すべての社員を個人事業主化する」である。
つまり、与える仕事への対価がいくらなのか?
を明確に計算し、その取引をお互いに成立させることに
特化した人間関係。
もちろん、年功序列の護送船団方式時代に比べれば、
それは「冷たい関係」であることは間違い無いだろう。
だが、上司と部下が「人間的な感情や精神だけでお互いの
調整を図ろうとすること」自体に無理が発生しているのも事実。
なぜなら、成果主義が導入される以上、
そこには「年齢や年功に対する尊敬心」が薄れる
原因があるからだ。
実力勝負となれば、たとえ上司が年上でも、
遠慮することは無い。それが成果主義の本質。
となると、最終的には究極にシビアな関係に徹しなければならない。
上司から部下への全ての指示は「発注」という概念に変わる。
受注した部下は、それを支持どおりにこなすことで給料という
報酬を得る。
つまり、上司の発注が悪ければ、そのまま
悪い形の報告がリターンされる。
だから、仕事を指示する側も真剣になる。
部下を上手く使えていない上司。
上司からの指示を的確に理解できていない部下。
そのような「仕事上でのズレ」が改善されれば、
自然と「精神面でのズレ」も解消されるのである。
今までは「心がつながっていれば仕事は上手くいく」
と言う発想だった。護送船団方式ならばそれもある。
だが、これからは「仕事が上手くいってこそ、
心もつながっていられる」という発想に変わっていくことは
間違い無いだろう。
なぜなら「義理や人情」だけで無能人を長期化も雇えるような
体力は、もはや大企業にさえ、残されていないからだ。
(次回につづく。)
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