プロジェクト全体の規模、各作業の見積もりを
正確に行なえないと、遅れが発生するばかりでなく、
その遅れを取り戻そうとして作業が乱雑になり、
結果として、思わぬミスや問題を引き起こす。
その問題の原因は、決して作業者の能力に
依存するものではなく、そもそもスケジュールに
無理があるという事実を、管理者は認めなければならない。
作業の見積もりというのは、早ければよいとは限らない。
多少遅くても、正確さを要求されるような作業の場合は、
あえて時間を多めに確保するなど、事前の考慮が必要なのだ。
例えば、あなたの自宅の浴槽が壊れて、水漏れが発生し、
その修理を、リフォーム業者に発注する場合、
A業者とB業者、どちらに依頼するか?
それをしっかりと比較、検討するはずである。
仮に、A業者は安くて早い、
一方、B業者は高くて遅い、
という特徴があったとする。
ここで、どちらの業者を選ぶか?
は、状況次第で、どちらも「正解」であり「不正解」にも
なるのだ。
とにかく急いで浴槽を直させたい場合は、
A業者に頼むしかない。しかし、急ぐことによって
丁寧さが失われると、数ヵ月後、また同じ問題が
引き起こされる可能性もある。
だから、同じ問題が起きないように、これを機会に
しっかりと修繕しておきたい場合、
あえてB業者に委託するというのも、正しい選択なのだ。
自分の部下に、仕事を振るときに、
正確さを求めるのか、速さを求めるのか、
それとも、その両方のバランスを求めるのか?
それは、与える仕事の内容によっても、
まったく変わってくる。
例えば、今日の午後までに、社内会議用の資料を作りたい場合、
それは丁寧さ(体裁)よりも、スピードが重視される。
だから、多少雑でも、早く仕上げられる部下に頼むべき。
一方、来週頭に、顧客に提出する資料の場合、
まだ時間的余裕があるのだから、それにはスピードよりも
正確さ(丁寧さ、体裁)が求められる。
その使い分け、仕事の振り分けが正確にできるかどうか?
は、部下の特性をしっかりと見極めているかどうかで決まる。
誰でも、自分の身銭を切って、業者を選ぶときは、
必死になって、見積もりを比較、検討するはずだ。
しかし、自分の部下に仕事を振るときは、そこまで真剣に
考えてから振る管理者は、それほど多くない。
自分の部下を、最も効率よく動かしたければ、
最適な仕事を、最適な部下に振る、これに限る。
その見極めこそが「マネジメント」であり、
それが出来てこその、優秀な管理者と言える。
(次回につづく。)
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