2006年06月07日

現役選手であり続けることの意味

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ワールドカップで盛り上がっている時期だが、
日本代表選手たちの活躍を見ていて、思うことがある。

彼らほど「現役であること」に誇りを持っているビジネスマンは
いないだろう。

サッカー選手をあえて「ビジネスマン」と呼ぶのは、
やはり、経済活動としてみれば、スポーツはエンタテインメントであり、
立派な「チケット収入によるビジネス」として成立しているからだ。

ところで、スポーツ選手の引退は、サラリーマンよりもだんぜん早い。
40代で活躍するサラリーマンは大勢いるが、
同じ歳でプレイを続けるスポーツ選手は、そう多くはない。

体力的にも厳しい状況になり、
さらには若手の進出が激しいから、
すぐに空席が埋まってしまうのだ。

もちろん、引退した選手も、本当は現役を続けたいのかもしれない。
しかし、それができない場合、なんらかの形で、
自分が関わってきた業界を応援したいと思うものだ。
具体的には、試合の解説だったり、キャスターやリポーターだったり、
あるいはコメンテーター、または若手の育成(コーチ)などが
引退後の道として残されている。

試合でプレーしなくなることが、スポーツ選手にとっての引退なのだとすれば、
サラリーマンにとっての引退とは、現場から離れることである。
それは早期退職かもしれないし、あるいは「相談役」などの
アドバイザー的な立場になることかもしれない。

現場で働いている社員たちにしてみれば、
「引退することは」は、目標のように感じられるかもしれない。
『自分も早く出世して引退したい』という気持ちが多少なりとも、ある。

しかし、スポーツ選手の場合、引退は自分で決めるしかなく、
そのときは、やはり『本当は続けたいが、条件的に難しい』
という状況をのむしかない。

ようするに、サラリーマンとスポーツ選手の決定的な違いは
「現役でプレイし続けること」に対する誇りと執着心である。

サッカー日本代表の試合を見ていて、思うことがある。
『もし中田選手が「サッカー教室」を開いたら、どうなるか?』

子供たちを育て、若き才能を伸ばし、将来の名選手を
輩出するというのは、とてもすばらしいビジョンである。
しかし、ファンの心理として、中田選手には
「いつまでも現役でいてほしい」という気持ちを抱いているのも事実だ。

そもそも、日本代表の選手たちは「現役の座」を勝ち取るために、
日々の練習(仕事)に真剣に取り組んでいるのであり、
ましてや「将来、サッカー教室を開くため」などとは考えていない。
あくまでも「プレーする側」に立ちたいという意欲が根源にあるのだ。

サラリーマンも、現役であることに誇りを持ち、
「1日も早く引退したい」などと考えなければ、
現場でプレーし続けることに、もっと喜びを感じられるだろう。
シュートを決めたときの喜びは、シュートをうった人間にしか
与えられないのだから。

(次回につづく。)

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※この記事は、人気メールマガジン《幸せなサラリーマンになる方法−気づきの視点と発想力》の著者により提供されています。(C) Copyright 2005 無断転載を禁止します。コメント、トラックバック等はご自由にどうぞ。書籍『辞めるなんてもったいない!入社3年たったら読む本(大和書房)』全国書店にて好評販売中

  
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2006年06月06日

開拓者精神を捨ててはならない

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環境が変わるときは、誰もが「以前の環境と比べて失ったもの」
に目を奪われがちになる。

たとえば、営業所の多いグループ企業に勤めているケースでは、
職場が数年おきに変わることが珍しくない。
勤務先の住所が変わり、通勤ルートも変更になる。

そのとき、必ず思うのが
『前の職場のほうが、いろいろと便利だった』
ということだ。「慣れていたから居心地が良かった」
というのもあるだろう。

しかし「住めば都」という言葉もあるように、
つまりは「新しい環境に慣れてしまえば気にならなくなる」ものである。
そして「以前は得られなかった価値を得た」ことに、
やがて気づくことになる。

たとえば、通勤ルートが変わることによって、
乗車する電車や、経由する駅、路線も大きく変わる。
それは面倒であり、定期の買い替えなども発生してしまうかもしれない。

だが、現実として、私たちは「新しい土地に踏み込むこと」
で、世界を広げてきた。行動範囲を拡大してきたのだ。
これまで「行ったことのなかった場所」に1日でも通えば、
そこは『いつも行っている地元』に変わる。

幸せの定義は人それぞれ違うが、その1つに
「世界を広げること」があるとするならば、
私たちは、自らの活動範囲が拡大することを
拒絶してはならない。
場合によっては、海外に行くことさえも、
歓迎するべきことなのである。

人は弱いもので、ずっと同じ場所にいると
「その場所から動きたくなくなる」のである。
ニートやひきこもりは、まさにその状況なのであるが、
仕事をしているビジネスマンにも
『一箇所にとどまって新たな刺激をシャットダウンしたい』
という「逃げの気持ち」が多少あることは否めない。

「2億円当たったらファーストクラスで世界一周したい」
というCMもあるが、飛行機に乗って空を飛ぶだけで、それが
「世界を回ったこと」になるのだろうか?

自分の足で歩き、開拓し、壁にぶつかりながら乗り越えていく。
そうやってこそ、達成感を味わうことができるのであり、
それが本当の「世界を知ること」なのではないか?

誰だって、新たな領域に踏み込むときには躊躇する。
だが、私たちは過去の経験上「その躊躇を乗り越えた先に感動があること」
も知っている。本当の幸せを掴みたければ、開拓者精神を捨ててはならない。

(次回につづく。)

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2006年06月02日

法改正で得する人、損する人

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駐車禁止取締りのルールが変わったことで
つらい立場に追い込まれている業者は少なくないだろう。
このような状況を見ていて、つくづく思うことがある。
それは「万人の利害が一致することはあり得ない」ということだ。

どこかで、ある人が「儲かれ」ば、その代償として、
誰かが必ず「損」をせざるを得ないのか?
悲しいが、それが現実なのである。

これは、私たちが「水を飲むこと」に似ている。
地球上に存在している「水の量」を、物理的に増やすことはできない。
水素分子は、ただ地球上を循環し、その状態を変えているだけなのだから。

誰かが水を飲めば、自然界から「水が奪われる」ことになる。
だが、飲んだ水はやがて排出され、また地球に戻り、雨となり、海に返る。
お金の流れも、これと同じだ。

「駐禁法の改正」で、儲かった業者もある。
一時的に「水を飲んだ」人たちだ。
逆に「奪われた」のは、配送業者の人たちかもしれない。

しかし、駐車場経営者や民間の取締り員たちも、
いずれは稼いだ金をどこかで使うことになる。
飲んだ水が尿として排出されるのと同じように。

巡り巡る価値。お金の流れは水の流れ。
大切なのは「循環のトレンド」を見極め、
つねに「飲める立場に立っている」ことなのだろう。
それが「先見性がある」という意味。

社内組織においては、どうだろうか?
社員間で利害が一致しない状況は少なくない。
同じチーム内において、ある社員が損をして、
ある社員だけが得をするように見えることもある。

たとえば社内教育制度。仕事を休んで、会社のお金で
スキルアップできる社員は恵まれている。
現場のチームメンバーからすれば「早く戻って来い」
と思うのだ。または「行くな」と止めたくなる。

だが、スキルアップして戻ってきた社員が、
現場でさらに効率的に仕事をこなせば、
チームメンバー全員がその恩恵を受けられることも事実。
まさに「価値は循環する」のである。

組織においては、ときに、誰かが「水の流れ」を変えようとする。
それはルールや法律の改正かもしれないし、ある実力者の発言かもしれない。
いずれにせよ、その流れが止められないのならば、私たちに残された道は
「流れに乗ること」しかない。コップを持参して、いつでも飲めるように
準備しておくしかないのだろう。

(次回につづく。)

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2006年05月31日

すべての意見は主観であり、鵜呑みにする必要はない。

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私は、世の中のありとあらゆる意見は「主観」であると考えている。
たとえ「客観的な意見」があったとしても、それは主観を合計して
平均値を取っただけのことである。100人がそれぞれの主観を述べ、
その意見を合計して集約し中間点を取れば「客観的な意見」が完成する。

このように考えるようになった理由は2つだ。
1つは「自分が主観を述べることに対して遠慮しないため」であり、
もう1つは「ある特定人物の意見だけに流されないようにするため」である。

たとえば、絶対的に尊敬しているカリスマ師匠がいたとして、
彼が「カラスは本当は白い」と言ったとする。
それを鵜呑みにしないためには『すべての意見は主観に過ぎない』
と割り切ることが必要なのである。

これは商売においても例外ではない。
あなたが「何かを売り込まれる立場」になった場合、
多くは「売り込む側の主観が混ざった話」を聞かされることになる。

1つ例を挙げて考えてみる。
ある著者が「会社におけるあらゆる会議は無駄である」
という主張を掲げ、その意見を書籍化したとする。
読者はその意見を、どのようにとらえるべきか?

たしかに「無駄な会議」は存在する。事実だ。
だが「その会議が本当に価値を生み出していないかどうか?」
を判定するのは難しい。

なお、著者自身が「無駄な会議を減らすことを企業に指導することで
収入を得ているコンサルタント」だった場合、少なからず、
彼の意見には「自らの商売を円滑に進めるための主観」が含まれていることは
間違いないだろう。

日本の企業では「工場の生産性は世界一」だといわれる。
しかし、デスクワーク(ホワイトカラー)の仕事になると、
急激に生産性が低下するというのだ。
その原因の1つが「長すぎる会議」だというのだが、
忘れてはならないことが1つある。

工場の生産性を上げるためには「しくみづくり」が必要である。
ルールを考え、人間心理を読み、安全性を考慮しながら、
斬新なアイデアで効率化を実現しなければならない。

そのような「しくみを生み出す源泉」が「長すぎる会議」
にあるのだと仮定すれば、まさに「ホワイトカラーの(見かけ上の)
生産性の低さ」は、工場の「世界一の生産性の高さ」として還元され、
会社に利益をもたらしているとはいえないだろうか?

世の中のあらゆるしくみは「バランス」を保ちながら動いている。
たしかに、ホワイトカラーの生産性が低いのは事実かもしれないが、
「見かけ上の生産性が高いこと」だけが、会社の利益を押し上げているとは
限らない。とくに「頭を使う仕事」の成果は、外から見えにくい。
工場で手足を使う仕事のように、数値で明確に生産性を示せない。

だからこそ「生産性が低い」と第三者から言われたら
『たしかにそうかもしれない・・・』と不安になる。
そして「会議を効率良くするめるためにコンサルタントに相談しよう」
などと、企業のトップは考える。それ自体がコンサルタントの戦略に
はまっている可能性もあるのだが。

つまり「誰かの意見を鵜呑みにすることは得策ではない」
ということだ。「参考にする」のと「鵜呑みにする」のとは違う。
すべての情報を冷静に判断するためにも、やはり「それは主観ではないか?」
という疑いの目を持ちながら、情報を処理することが望ましい。

(次回につづく。)

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2006年05月29日

問題の大きさは、人間の感情によって左右される

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ビジネスにおいては、誰もが「大きな問題が起こるのを避けたい」と考える。
たとえ問題が起きたとしても、それをできるだけ小さく片付けて、
それまでの平穏な状態を保ちたいと考えるものだ。

だが、良くも悪くも、すべての問題が「その問題の大きさ自体」で
判断されるとは限らない。問題はあくまでも「現象」であり、
実際のところは、その「現象」を「どのように解釈するか?」という
人間の心理的側面のほうが、大きな威力を発揮する。

言うまでも無く、未来は予測できない。
だから私たちは、あらゆる問題を正確に予測することは困難である。
つまり「起こりうる問題を事前に把握し、完璧に予防すること」は
理論上不可能なのである。そのため『起きてからどうするか?』
という対策を練ることしかできないようにも思える。

しかし、問題を事前に「小さく」するための準備はできる。
それは「人間関係のクッションを強化しておく」ということだ。

人は感情の生き物。たとえば「同じミス」でも、
Aさんは許せて、Bさんは許せない、ということがよくある。
これは「ミスという現象」ではなく「相手との関係性」が
重要であることの証。

つまり「問題の大きさ」は「原因の大きさ」に比例するのではなく
「その問題を起こした人間との関係性」との掛け算によって
あらわされるべきものなのである。

  現象の大きさ × 人間関係 = 問題の大きさ

たとえ「現象として大きなミス」だったとしても、
周囲との人間関係が良好であれば『まあ、しょうがないよね』
で済まされることもある。問題を小さく解釈することができる。

だが、逆に「人間関係に問題がある(憎み合っている)」とすれば、
たとえわずかなミスでも、それがあたかも大問題であるかのように
扱われ、追い詰められるのだ。「鬼の首を取った」かのように。

だとすれば、あらゆる問題を事前に「最小限の範囲にとどめる」
ためには、やはり「人間関係を良好にしておく」ということは欠かせない。
たとえ日常的にキライな相手であっても、そこから憎しみを
生むような関係を築くのは得策ではない。あくまでも「ビジネス上は
フェアな関係」を保つのがよいだろう。

以前、セコム創業者のセミナーCDを聴いたとき、
その中で『警備中の職員がデパートの宝飾品を盗んだことがあった』
という話が取り上げられていた。
そのとき社長は「セコムは潰れる」と本気で思ったらしい。
『警備員が盗みをはたらくとは、どういうことだ!』と、
関係者からの怒りを買い、追放されると思ったのだという。

しかし、取引先に頭を下げて回るうちに、
『まあ、そういうこともあるさ』と、なんとか
水に流してもらえたのだという。これはつまり
『それまでの人間関係を良好に保ってきたこと』の
結果であり、そのおかげで、問題を大きくせずに済んだのだと
解釈するのが妥当だろう。

日常的に恨みを買うような態度でビジネスを進めていたとすれば、
1回の不祥事でも見逃されることは無く、ここぞとばかりに攻撃され
一気に落とし込まれるだろう。人間の感情は、1つのミスを100倍
に膨らませるほどの強いエネルギーを持っているから恐ろしい。

サラリーマンも、職場であらゆるミスに遭遇すると思うが、
それが大きな問題に発展するか? あるいは小さくおさまるか?
は、日ごろの周囲との関係性にかかっている。
もちろん媚びる必要はないが、常識的な範囲で良好な状態を
保っておかなければ、思わぬところで足元をすくわれることもあるだろう。
気をつけたいものだ。

(次回につづく。)

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2006年05月26日

職場の電話番号の取り扱いには注意する

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サラリーマンをやっていると、仕事中、職場の電話あてに
「保険、マンションなどの売り込み、勧誘の電話」が
かかってくることがある。あれほど厄介なものはない。

なにが厄介なのか? 電話そのものではない。
電話を「取り次いでもらう手間」である。
代表番号の場合、自分以外の社員が電話に出ることのほうが多いわけで、
そこから取り次いでもらったとき、自分以外の社員に手間をかけている、
つまり迷惑をかけていることになる。それが一番耐えられない。

だからこそ、あらゆる状況において、会社の番号を記入することは
避けるべきである。携帯番号ならば、自分の責任の範疇で
受け取り、その場で切ることができる。誰にも迷惑はかからない。

そのせいか「情報の公開のしやすさ」別に
電話番号を並べると、つぎのようになる傾向がある。

1.携帯
2.自宅
3.職場

自宅の番号を教えるのはいやだが、
携帯ならべつにいい、
と考える人は多い。私もそのタイプだ。

携帯の場合、相手の番号をディスプレイで知ることができる。
着信履歴にも残る。非通知なら出なくても問題ない。
知り合いではないのだから。

しかし自宅の場合、ナンバーディスプレイはオプションのため、
ついていない家庭も多い。私もつけていない。
だから出るまで相手が誰だか分からない。携帯を使い慣れた
状況からすれば、固定電話は不気味なのである。

このように、同じ「電話番号」という個人情報でも、
携帯か? 自宅か? 職場か?
によって「情報の重み」が違う。
だから、教える側も、取り扱う側も、慎重にならざるを得ない。

メールアドレスについても同じことが言えるだろう。
正式プロバイダのものと、フリーのものとでは
意味合いが違う。
携帯の番号は、フリーのアドレスに近い。
自宅の番号は、正式プロバイダのアドレスだろう。
市外局番を見れば地域が特定できるからだ。

そのため、たとえば相手が「法人」を名乗る場合、
携帯の番号しか書いていなければ、なんとなく怪しい印象を受ける。
「法人ならば、なぜ会社の代表番号がないのか?」と疑いたくなるのだ。
会社の住所と、代表番号の市外局番があっているか?
だけをチェックしても、その所在地が実在することを確かめる手段になる。

いずれにせよ、情報には「重み」があり、
出す側も、それを意識して提供しなければならない。
だから私は、本当に信用できる相手ならば、
携帯と自宅の両方を教えるようにしている。
それはある種の「礼儀」でもあると考えている。

だが、会社の番号を教えることはない。
あくまでも「会社同士の付き合い」においてのみ、
職場の番号は使うべきだろう。

まれに、保険の営業などで、アンケート欄に
「職場の内線」を記入する欄があるが、あれはもってのほかだ。
社員として、会社の番号を守ることも重要な仕事の1つといえるだろう。
気をつけたいものだ。

(次回につづく。)

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2006年05月24日

分岐点に立たされたとき、どうするか?

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サラリーマンをやっていると「マンネリの毎日を過ごしている」
ように思われがちだが、実際、そうでもない。
定期的に「改変期」がある。

もちろん会社の規模にもよるだろうが、
IT企業の場合、ある1つのプロジェクトが収束すると、
同じメンバーが別のプロジェクトに参画するケースが多い。

プロジェクトが変われば、当然、仕事をする場所も変わる。
顧客先との関係も考慮し、チーム全体で引っ越すこともある。
まるで転職したような雰囲気になる。
通勤ルートから日常の業務スタイルまでもが
大きく変わるからだ。

このような改変期は、だいたい3〜5年おきに1回のペースで
訪れる。1つのシステムを開発するプロジェクトが10年以上も
続くことはない。システムを発注する側も、時代の流れに応じて
どんどん新しい取り組みをしなければならないからだ。

もちろん、既存システムの保守、拡張という作業も
ゼロになるわけではない。そうなると、
「新規プロジェクトに参画するか?」それとも
「既存のシステムを末永く見守るか?」の選択を
社員自身に強いられることもある。

どちらが良いか? は人それぞれ考え方が違う。
だが、選ばなければならないとしたら、
問題は「どのような基準で選ぶか?」である。

一般に、仕事を選ぶときの基準としては、

1.場所(どこでやるか?)
2.内容(なにをやるか?)
3.人(誰とやるか?)

などがある。
1.については、単純に「通勤が面倒になるとイヤ」
だから、多くの場合、職場が今よりも遠くなることには
抵抗したくなる。

しかし、何年も同じルートで通っていると、
どうしても「飽き」がでてくるわけで、
やはりそこは、多少遠くても「新天地」を求めたほうが
毎日に新鮮味を感じられるかもしれない。

もちろん、もっとも重要なのは「2.内容」だろう。
自分のスキル、将来の成長戦略なども考慮し、
慎重に選ばなければならない。仕事の内容については、
理詰めで考えれば、なんとなく答えは見えてくる。

しかし、本当のところ、感情的には「3.誰とやるか?」が大きい。
たとえ新天地のプロジェクトが魅力的でも、そこで一緒にやる
メンバーの中に「イヤな人物」がいれば、モチベーションは下がる。

そういえば、人材採用のコンサルタントであるワイキューブの安田社長が
つぎのようなことを話されていた。

────────────────────────────
(会社が成長するための条件)
まず良い人材を確保する。
その後、何業をやるか?を決めればいい。
先に「良い人材」さえ揃えれば、なにをやっても成功する。
────────────────────────────

これはつまり「仕事の内容」よりも「人」が大事であるという意見。
たしかに、仕事の内容は時代に応じて変わるが、人のスキル、性格、
ポテンシャルというものは、そうそう変わらないものだ。
だとすれば、やはり「人(誰とやるか?)」という要素は、
仕事を選ぶ上で、かなり大きなウエイトを占めるだろう。

大切なことは、我々の日々の仕事において
将来への「2つの分かれ道」に立たされたとき、
どのような基準で、右か左かを選ぶべきか?
を、事前に考えておくことだろう。

「人」重視であれば、誰と組みたいのか?
「内容」重視なら、どこまでが許容エリアなのか?

基準なきところに選択はない。
選択なきところに自主性はない。
自らが「仕事を楽しみたい」のであれば、
自分に最適な選択肢を「自分で選ぶ」しかないのである。

(次回につづく。)

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2006年05月22日

社長が有名になれば、社員の士気は高まるか?

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一般に「自社のことがマスコミに取り上げられると、
社員のモチベーションは高まる」と言われている。
そのため、経営者は積極的に「広告塔」となって、テレビや
雑誌に登場し、そのことを社内に告知する。

だが、問題は「告知をするときのスタンス」である。
社長自身が「一人の起業家としてスポットライトを浴びる」
ような形式の場合、必ずしも社員のモチベーションを高めるとは限らない。

経営者は、組織のリーダーとして、自分が目立つことではなく
「会社のブランドが上がること」を最優先に考えなければならない。
そうしなければ、社員からの共感が得られないだけではなく、嫉妬を
買うことになる。

問題は「社員と社長の夢が必ずしも一致していない」という事実を、
社長自身が認識していない点にある。
社長は「会社が大きくなり、自分自身と自社が注目されること」
に喜びを感じるだろう。だが、社員も必ずしもそうであるとは限らない。

社員は「自分個人としての存在価値が高まること」を第一に期待している。
たとえ会社の規模が拡大しなくても、会社の中で「自分の規模が拡大」
すれば嬉しい。そこに社長と社員との間における「夢のギャップ」が存在する。

だからこそ、社長は常に「社員が何を望み、何を望んでいないのか」に
意識を向ける必要があり、『社員が望んでいない情報』については、
あえて告知をしないという配慮も必要である。
社長個人がバラエティ番組に取り上げられたとしても、社員は
たいして喜ばない。それよりも『ちゃんと仕事してるのか?』という
疑惑を抱くに違いない。

企業の規模にもよるが、一般に、社員は
自分の存在を「社長に属している」とは考えない。
あくまでも「会社の一員」としてとらえている。
だから「会社が注目されること」と「社長が注目されること」
には大きな違いがある。雲泥の差なのだ。

そして、いかなる企業も、以下の4タイプに分けられる。

1.社名は無名、社長は有名
2.社名は有名、社長は無名
3.社名も社長も有名
4.社名も社長も無名

客観的に見れば「3.社名も社長も有名」なのがベストなように感じる。
だが、社員にとっては「2.」も「3.」も、どちらも大した差は無い。
自分が持っている名刺に社長の名前が記載されることはない。
あくまでもサラリーマンにとってのブランドは「社名」であり、
社長が誰か? はそれほど重要ではなく、長期的に見れば『いずれ変わるもの』だ。

求人の効果についても、「社長に引き寄せられる」よりは、
「会社のブランド」や「ビジョン」に引き寄せられるほうが、
はるかに「長期的に残る人材」を集めやすいことは間違いない。

もちろん「会社のブランド」を作った張本人が社長である場合は
どちらも同じ意味になるかもしれないが、二代目、三代目と
社長が変わる場合、最後にものを言うのはやはり「組織としてのビジョン」
である。

「会社 = 社長」という文化で成長した企業は、
その社長が退いた瞬間、進むべき方向を見失う。
社長が「永続的な組織を作りたい」と思うのならば、
あくまでも「組織にスポットライトがあたる」ような
プロモーションを考えなければならない。
個人が注目されても、やがてその個人は去り、この世から消えるのだから。

(次回につづく。)

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2006年05月19日

システムの進化と「支配」の関係

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社内ネットワークの整備が進むと、
『社員がシステムに支配されるのではないか?』
という懸念が生まれる。

たとえば、社内から社外へのウェブアクセスにおいて
プロキシ(中継サーバー)を経由しているネットワークは多い。
そのとき、プロキシにはすべてのアクセスログが残る。

もし、社内のシステム管理者が、そのアクセスログを監視していれば、
誰がいつ、どんなサイトにアクセスしたのか? がすべて見えるわけだ。
これを実際にやっている会社は多い。だから社員は外部へのアクセスを控える。

経営陣は、それによって「業務効率が上がる」と考えているのだろう。
だが、実際に「業務に役立つ情報がウェブ上に存在する」のは事実であり、
その情報へのアクセスの自制を促すようなシステムは、はたして
会社の利益アップに必ずしも貢献しているといえるのだろうか?

ウェブアクセスやメール送受信だけならまだいい。
将来的には「デスクトップの動き」さえリアルタイムにキャプチャーして
監視できるようなシステムができるかもしれない。
そうなると、さらに厄介なことになる。

PCを使って仕事をする場合「どんな仕事をしているのか?」
はデスクトップ画面の動きを見ればある程度推測できる。
安直に考えれば「デスクトップが止まったまま」だと、
仕事をしていないと判断される可能性もある。

だが、業務の現場においては、必ずしもその判断は当てはまらない。
たとえば、電話にでているのかもしれない。会議に参加しているのかもしれない。
または、書類を読んでいる、手書きのノートにアイデアをまとめているのかもしれない。
つまり、デスクトップの動きだけでは、実際の仕事の内容そして成果を
計測することは不可能なのである。

もし、完全に社員を監視し、コントロールしたいと考える経営者がいるとすれば、
監視カメラをつけるか、社員の会話を録音するという方法があるだろう。
しかし、それらのデータを監視し、内容を把握するという仕事は
誰が担当するのだろうか? そのコストこそが最大のムダといえるかもしれない。

そしてもっと重要なことは、社員が「そんな会社で働きたいと思うか?」である。
企業のトップが社員を信用していなければ、社員が会社を信用することも無い。
当然、退職率は増加し、お互いの関係は極めてドライなものになる。

実際、ホワイトカラーの仕事をすべてフリーターに任せられるようならば、
そんな「監視・コントロールによる業務効率の改善」も、1つの解決策かもしれない。
だが、ホワイトカラーの仕事の成果が見えづらいのは、単に「頭脳職」だからだ。
「ねじを100個まわせば1000円あげます」というような単純な労働ではない。
そのような「難しい仕事」を社員に任せるということは、ある程度の柔軟性を
許容するということだ。それがいやならば、経営者が自分の頭をつかって、
社内のあらゆる、すべてのしくみを構築し、明文化しなければならない。
それはそれで大変だろう。

「システムによる支配」への恐れ。事実、ワールドワイドのウェブにおいても
「グーグルが全メディアを支配するのでは?」という懸念はある。
既存のテレビ業者、新聞、広告代理店が危機感を抱くのも無理はない。

重要なことは、システムの利用者が、つねに「システムに支配されないようにすること」
を心がけることだろう。今の時代、検索慣れしている人は「検索結果に絶対的な信頼」
は寄せていないはずだ。あくまでも「参考材料」であり、それを活用するのは自分の責任。
まだまだ、従来の書籍や専門書に対する信頼度とはかけ離れている。

システムが提供する情報。そして、既存メディアや教科書が提供する情報。
それぞれに、ちがった性質の「信頼性」が存在する。
どちらか一方だけを盲目的に信じるのではなく、あくまでも自己責任として
情報を取り扱い、それらをビジネスに応用していきたいものだ。

(次回につづく。)

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2006年05月17日

企業内検索で変わる人事評価

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検索エンジン市場は、WWWから「企業内検索」へとシフトしている。
ワールドワイドなウェブ(つまりWWW)は、グーグルとヤフーの
独壇場であり、もはや他社が参入する余地はない。
これから予算をかけて自社製クローラを開発しても、
その性能を市場に認知させるだけで莫大な宣伝コストがかかるからだ。

では、検索エンジンの自社技術を持っている企業が次に狙うのはどこか?
それが「組織内検索」である。
具体的には、企業内のイントラネット上に散在するデータを
検索エンジンで素早く検索できるようにしよう、という考えだ。
今のところ、目立った参入を表明しているのはオラクルとグーグル。
オラクルはデータベースが専門であるが、そこで培ったセキュリティ
ノウハウを、検索結果表示に生かそうとしている。

ワールドワイドの検索と企業内の検索とで大きく違う点は、
「表示結果のすべてを、不特定多数の人間に見せることができない」
という点である。これはワールドワイドの検索には無い考え方だ。

原則として、ワールドワイドの検索結果は、子供でも大人でも
誰でも見ることがきる。利用者によって表示結果を制限したりしない。
ウェブ上に存在するすべてのコンテンツは、成人向けを除いて
「誰が見てもいい」という前提で作られ、公開されているからだ。

だが企業内の情報となれば、話は別だ。
たしかに、社員数の多い大企業では、部署間の持っている情報が
隠蔽され、それが横方向に広がっていないという問題がある。
だからこそ部署やグループを超えた情報共有装置としての
「企業内検索エンジン」の開発が望まれたわけだ。

しかし、閲覧者が新入社員か? 部長職以上か?
によっても「検索結果に表示させてもいいかどうか?」が
変わってくる。また、人事部のデータや査定関連については
全社員に無条件に公開することは問題があるはずだ。

つまり「閲覧者の権限」に応じて、表示結果を変えなければならないという
大きな課題が、企業内検索には存在する。これがワールドワイドの検索との大きな違い。
そこで「データを守る」という意味での「セキュリティ」というコンセプトが
重要になるのだが、そのジャンルにおいて、オラクルはグーグルに対する
優位性を見い出そうとしている。

さて、このような「企業内検索システム」が一般化すると、どうなるか?
社員同士の関係性において、どんな現象が起こるのか?
それを知るためには、現在のワールドワイド検索で何が起きているか?
を見れば、一目瞭然である。

「いかに検索結果の上位に表示されるか?」という競争において、
熾烈を極めるSEO戦争。そこまでして手に入れたい「一位のポジション」
には、どれだけの価値があるのか? 知名度アップ、収益アップなど、
「トップに立つことで得られるメリット」は挙げればキリがない。
この価値観は、そのまま企業内検索にも当てはまる。

企業内でトップに立つという野望。それはつまり出世欲であり、
「もっと社内での発言力および影響力を高めたい」という欲望である。
それが給料としての報酬に比例するのであれば、誰もが上位を狙うに違いない。
つまり「社内における、社員同士のSEO戦争」が始まることになる。

だとすると、勝つのは誰か?
当然のことならが「有益な情報を出し続けることができる社員」である。
企業内検索システムの基本は、グーグルにおける「ページランク方式」である。
つまり「その情報がどれだけ多くの社員からリンク(支持)されているか?」
によって、情報の優劣、重要度が決定される。極めてフェアで、民主主義的な方法だ。

これにより、社内の評価システムは限りなく「公平」に近づいていくだろう。
「情報を出す者」と「出さない者」との間には、「認知度」という
限りなき溝が生まれ、その差はどんどん開いていく。
もはや年齢や勤続年数は関係ない。本当に実力(を示す指針となる情報)
を提供できる人間が上位に立ち、組織を動かしていく。そんな時代が近づいている。

(次回につづく。)

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2006年05月15日

「360度評価」はなぜうまくいかないのか?

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あらゆる企業で成果主義が導入され、その問題点を感じつつも
改善の糸口が見えていないという状況が続いている。
それはなぜなのか?

根本的な問題の1つは「評価する側に支配権がある」という点だろう。
ある一人の上司が、複数の部下の評価を決定する場合、
その上司には「権力」が発生するわけだ。そこで平等さや公平さが失われる。

そのため、つぎに出てきたのが「360度評価」という考え方だ。
これは『部下にも「上司を評価する権限」を与えるべきだ』という意見。
しかし、それによって「完全なる公平性」が保たれることは、残念ながら、ない。

そもそも「評価する側に権力が与えられる」という原理原則は、
年齢や勤続年数とはまったく関係がない。
20歳の社長が、50歳の部下をたくさん抱えている場合、
「若い社員が年上の社員を評価する」という図式は当然であり、
「評価する側の年齢が高かろうが低かろうが、権力が与えられることに変わりはない」
のである。

さらに、360度評価の問題はもう1つある。
それは「360度評価」に使うための「評価シート(評価基準)」
を、ある特定の限られた人間たちが作成しているということだ。

評価の基準は、なによりも重要な「権力の根幹」となる。
国家で言えば「法律」にあたるものだが、当然、その法律を
制定する人間に「権力」が与えられるという図式は変わらない。

もちろん国家の場合は「政治家を選ぶのは国民」という原則が
あるから、その「国民の代表者である政治家が考えた法律」は、
民意を反映したものになる。

だが、会社組織においては、そこまでの民主制度が発達していないため、
けっきょくは「評価制度のルールを作る人間に権力がゆだねられる」ことになるのだ。
いかなる評価システムを導入したとしても、その普遍的な事実は変えられない。

では「真の民主主義」はどこにあるのか?
ベストセラー「ウェブ進化論」によれば、
真の民主主義は「グーグルによって実現される」と
定義されている。これはどういう意味か?

検索で上位に表示されること=「評価されていることの証」
であるが、グーグルはこの判断に「人手を介すること」を
好まなかった。あくまでも「誰からリンクされているか?」
という「不特定多数ユーザーからの支持率」を重要視した。
これがヤフーの「人手によるディレクトリ登録」との違いだと言う。

この考え方を前提とすれば、もはや「正当な評価」を得るためには
「評価者を無限大に増やさなければならない」という結論が出てしまっているわけだ。
しかし、会社組織においては、どんなに360度評価を駆使しようとも
「評価する側を無限大(=全社員)」に増やすことは難しい。
社員数の少ない小規模な会社なら別だが、数百人、数千人を超えるような
大企業ともなれば、人間同士の「リンク」がクロスし、無数の意識を
張り巡らせなければならない。そんなことは人間ができる芸当ではない。

そして、忘れてはならないことが1つ。
それは、グーグルのようなマシンでさえも、日々
「SEOスパム」に悩み、その対策に追われているということだ。

どんなに「優れたように見えるシステム」でも、
「それを悪用しようと考える人間」は必ず出てくる。
スパム行為は、会社組織で言えば「実力が無いのに上司に媚びて
高い評価を得ようとする行為そのもの」である。

もちろんグーグルは、自社の優位性を確保するために、
スパム対策には多額の資金と時間を投資している。
そのような意味では、まだまだ発展途中であり、イタチごっこは
今後も続いていくのだ。

会社における評価制度も、いきなり完璧なモノは作れない。
不十分さは残り、それを悪用する人間も出てくる。
だからこそ「日々改善し続けなければならない」のであって、
その基本原則は、会社組織であろうとも、インターネットであろうとも
まったく変わらないのである。

(次回につづく。)

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2006年05月12日

「教育」というコンセプトは人類普遍

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つぎのような言葉がある。

─────────────────────────
 未来を予測する最良の方法は、自分で作ることだ
─────────────────────────

名言である。が、事実上「未来を自分で作る」ためには
「今後、未来がどうなるか?」を無意識に予測してしまう。
誰だって、ビジネスをする上で、将来の市場が手に取るように分かれば、
大もうけできることは間違いないのだから。

『これから先、どんなビジネスが当たるのか?』
『何が流行るのか?』

私自身、そのような情報を追い求めて、
雑誌や書籍を読み漁った。今でも続いている。
しかしながら、その答えは永遠に見つからないのかもしれない。

だが、あらゆるビジネスのモデルを調べ、
その経営者の書籍、セミナーなどから「社長の考え方」
を吸い取っていると、ある1つの普遍的なコンセプトが浮かび上がる。
それは「教育」である。

どんな業種、業態、市場にも「教育」は必要であり、
それがビジネスの根幹を担っているといってもよい。
「教育」とは単に「学校ビジネス」だけを指しているのではない。

たとえば、スポーツ選手が引退して監督になったり
コーチになったりするのは王道だが、それはすなわち「教育者になる」
ということである。

または、キャスターやコメンテーターになる場合もあるが、
その場合も「情報を発信することで若手を育成する」と解釈すれば、
「教育」というコンセプトから外れることはない。

もちろん企業においても、ベテラン社員が新人を育てることは常識であり、
むしろベテラン社員はそのために存在しているとも言えるだろう。
手足を動かして仕事をしなくてもいい。そのかわり「部下を育てる」という
仕事を怠ってはならない。それを怠るとチームは崩壊して自分も沈むだろう。

ところで、少子化と晩婚化の現代においては、
30歳前後(通常は「親」になっているであろう世代)の
「教育スキル」が低下するのではないかという懸念がある。

教育スキルを鍛えるための最良の方法は「子供を育てる」ことかもしれない。
しかし、情報が氾濫しすぎて「子育ての大変さ、リスク、コスト」などが
クローズアップされている現代では、なかなかそれを本気で始めようする
若者は増えないだろう。リスクよりも自分のメリットを好むからだ。

本来ならば「子」が「親」になり、また「子」を育てるというサイクルは
生物学的に見ても普遍であり、必然的な循環である。
だからこそ、ビジネスにおいても「教育」というコンセプトは、
あらゆる市場に発生し、利益を生み出す源泉になるのだ。

では、どうすれば「育てたくない」という人たちに
「育てることの楽しさ」を伝えられるのだろうか?
具体的には『後輩を育てることに興味の無い人たちのモチベーションを
どうすれば高められるのか?』ということだ。

一番大切なことは『育てることのメリットに気づかせること』だろう。
具体的には「金銭的メリット」もしくは「心理的メリット」があるわけで、
それを本人たちが実感すれば、教育というコンセプトに目覚めることは確実だ。

インターネットでの情報起業も、けっきょくは「教育ビジネス」である。
情報を提供し、教えて育てるところにサービスが生まれるのだから。
つまり「お金儲けのため」に「教育」というコンセプトは取り扱いやすい。

だが、それだけでは満足できないのが人間の欲深いところだ。
一番楽しいのは、やはり「自分が育てた相手」が成長し、成功することだろう。
そこで感謝されることが、人生最大の喜びであるとも言える。

もちろん、会社で部下を育てることも同じだ。
その場合、金銭的なメリットは少ないかもしれないが、
だからといって「育成を放棄」すると、心が満たされない状態になる。
誰からも慕われない上司ほど、寂しい存在は無いだろう。

ビジネスで迷ったとき、満足の度合いに疑問を感じたときは、
もう一度、人間の原点である「教育」というコンセプトにフォーカス
してみるといい。忘れていた原理原則を思い出し、次に進むべき道を
見つけられるだろう。

(次回につづく。)

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2006年05月10日

ロングテールと組織論

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組織の構成を示すときに、よく使われる「2:6:2の法則」というのがある。
おさらいしておくと、つぎのようになる。

上位2割:優れた人材
中位6割:まあまあ、それなりに働く
下位2割:サボる

この考え方を前提として、あらゆる組織論が語られてきた。
『本当に強い会社は、中位6割が強い会社なのだ』とか、
『上位2割に集中的に教育投資したほうが効率が良い』などだ。

そして「上位2割の人間だけを集めて100人のチームを作っても、
やはり同じ構成になる」というのが定説でもある。
つまり、それまでは「優れた人材」だった人たちが「まあまあ」になり、
そのうちサボるようになる。この分布は何をどうやっても変えられないというのだ。

だからこそ経営者は「下位2割をどう扱えばいいのか?」に悩むわけだが、
それはさておき、この考え方のベースになっているのは「20:80の法則」。

そして最近、ロングテール論が盛んになっているから、2割8割の法則が
崩れつつある。この解釈を組織論に当てはめてみると、どうなるのか?

2割8割の考え方をベースとすると、
従来の組織では「上位2割の優秀な人間が組織を支えていた」
ということになる。つまり「残り8割は、上位2割の影に埋もれて目立たなかった」
というわけだ。

しかし、ロングテール論においては「残り8割の総額のほうが、上位2割の
売り上げを上回る」という結論が出ている。アマゾンの「少ししか売れない本」
が取り上げられ「ニッチで少数しか売れない本でも、欲しい人はネットで検索
して買うので、それを総計すれば膨大な売り上げになる」というわけだ。

ロングテールの「8割部分」の強みは、あくまでも「総計」である。
8割部分を構成する1つの要素だけを見ても、それは「ニッチで、
ごく少数の人にしか支持されない」というのは事実だ。

つまり、ロングテール論のキモは
「ニッチな商品の総計売り上げは、インターネットの登場で今後伸びる」
ということである。

では、会社組織における「8割部分に所属する人間」は、
この事実をどう解釈すればいいのか?

8割部分を構成するそれぞれの人材は「ニッチなスキル」を
極めているといえる。しかし、クセがあるのか、万人受けするような
存在ではない。書籍で言えば「ハリーポッター」にはなれない。
そうではなく「鉄道模型の魅力」など、超ニッチなジャンルになる。

もしあなたの会社組織に「マニアックでスキルは高いが、人付き合いが苦手」
という人材がいたら、彼はどちらかといえば「鉄道模型の魅力」タイプだといえる。
一方、平均的なスキルが高く、人付き合いが上手な人材は「ハリーポッター」タイプだ。
管理職に向いているかもしれない。

さて、2割8割の法則論においては「ハリーポッター的な人材」が
上位2割に属していると解釈されるわけだが、ロングテール論では
逆に「8割に属している鉄道模型的な人材」がクローズアップされる。
これはどういうことか?

たとえば、鉄道模型的な人材は、社内では理解されないかもしれない。
ジャンルがニッチだからだ。しかし、彼のような存在が「鉄道模型を製造販売する会社」
に就職したらどうなるか? まったく評価は異なるかもしれない。

最近はインターネットで転職、求人することは当然の習慣になっているが、
鉄道模型タイプの人材が「鉄道模型の会社を探して面接を受ける」ことは
珍しくない。ネットで検索すれば簡単にマッチングできる。

ようするに「ロングテール部分に属する8割の人材」が、
ニッチな市場で圧倒的な評価を得る時代が来た、
ということである。

そうなると、冒頭で説明した「2:6:2の法則」も、
少し解釈が違ってくる。

今までは「下位2割の扱い」に、会社側も本人も苦しんでいただろう。
しかし「下位2割」は『その特殊なスキルを求める市場』においては、
圧倒的な人気を獲得できる可能性があるのだ。

事実『自分が下位2割に属している』と自覚している社員は、
自ら新しい道を模索するわけで、自分が活躍できるフィールドに
出会えるのは時間の問題だろう。

だとすれば、2:6:2の法則において
「下位2割の人間はインターネットによって自然淘汰される」
という結論を導くこともできるだろう。

もちろんそうなると、次に問題になるのが
「中位6割から、サボる人間が出てきて、再び下位2割を構成するかもしれない」
ということだが、いずれにせよ人材の流動を止められないのならばしかたない。
下位2割の人たちが市場に出て行ったほうが、その経済効果の総計は大きくなるので、
どんどん循環したほうが、日本経済は豊かになるのだろう。

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「誰がやっても同じ」という望ましい状況

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次期首相が誰になるのか? は、
多くの国民が注目しているところだが、
現実問題として「誰がなっても同じではないか?」という感も否めない。
それにしても、小泉政権は長持ちしたが、
どんなに長い政権でも、5年以上続いてしまうと、それはそれで問題だ。
定期的に入れ替わらなければ、偏った政治になってしまうだろう。

企業においても、特に大手上場企業の子会社では、
社長が2〜3年おきに頻繁に変わることは珍しくない。
一人の社長が10年以上もトップに君臨し続けることはほとんどない。
これはなぜか?

中小企業のワンマン経営であれば、一人の社長が
10年、20年と、ずっと同じスタンスで経営していても問題はないだろう。
だが、社員を何千人も抱える大企業となれば話は別だ。

大きな組織は、時代の変化に敏感でなければならない。
中小企業のように小回りがきかないから、5年先の壁を予測して、
今のうちから回避する準備をしなければならないわけだ。
そのためには、トップがまったく新しい視点を持って経営しなければならない。
だから人を入れ替える。単純な原理だ。

ところで、トップが頻繁に入れ替わる会社では
「誰が社長になっても同じだろう」という感が、やはりある。
当然、日産のゴーンさんやダイエーの女性CEOのようなケースは別だが、
そうではなく安定している企業の会社は、誰が社長になったところで
たいして大きな風は吹かないのが現実である、

それに対して、社員は『このままでいいのか?』という
疑問を持つこともあるだろう。私自身も
「誰が社長になっても同じだ」というような消極的な状況は
打破すべきだと考えていた。

しかし最近は『それを打破する必要もないのでは?』と考えている。
なぜなら「誰がやっても同じ」という状態こそ「究極の安定状態である」
とも思えるからだ。

本来、会社組織においては、ある仕事を「一人の社員に依存すること」
は避けなければならない。たとえば、超有能なA部長がいたとして、
『A部長が死んだら会社は潰れるだろう』というような状況を作ってはならない。
それは最大のリスクである。だからこそ、リスクを回避するためには、
A部長のスキルをみんなで学び、知識と仕事を分担できるような仕組みを
作らなければならない。

そして、この考え方は会社経営においても同じだ。
ある有能な社長に頼った経営だと、その社長が死んだ瞬間に
会社が潰れることになる。だから「誰が社長をやっても会社が回っていく」
という状態は理想であり、究極の安定なのだ。

政治においても「ある有能な首相に日本の将来をゆだねる」というのは
危険な思想であり、リスクが高すぎる。
だとすれば、日本の政治が「誰が首相になっても変わらない」というのは
極めて安定していることの証拠であり、喜ぶべきことなのだ。

あなたの会社、あるいは職場において
『誰が上司になっても同じ』という状況があるならば、
それは悲しむべきことではない。歓迎して賞賛するべきことだ。
そのような安定した土壌があるかぎり、あなたは「どんなに無能な人間の下についた」
としても、あなたが路頭に迷うことはないのだから。

(次回につづく。)

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2006年04月26日

「現状に満足すること」は永遠に無い

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成功が「満足」なのだとすれば、成功とは永遠に手に入れられない
ものかもしれない。あるいは「一瞬で終わるもの」と言ってもいいだろう。
もし「現状に100%満足」しているのならば、それ以上を求めることはない。
だから商業活動が停止してしまう。それはそれで厄介なことだ。

人間の欲望は果てしない。1つ目を手に入れたら、次は2つ目を手に入れたくなる。
しかも、その執着は、1つ目のときよりも強くなる。恐ろしい。

私自身、昨年の秋に1冊目の著書を出し、おかげさまで重版も決まった。
そして今年春、2冊目の新刊。本来ならば「出せただけ」でもありがたく思うべきこと。
しかし、私の感情は「もっとたくさん売りたい」という欲望に押し流されそうになっている。

配本が始まると、私は都内の大手書店を見て回る。
自分の本が平積みされているのを見ると、嬉しく感じるものだ。
しかし、同時に「強烈な嫉妬心」が湧き上がってくる。
自分の本の隣に置いてある本を、ある客が手に取ったとき、
『なんで俺の本を取ってくれないのか!?』と思ったりもする。
私はなんて欲張りな人間なのだろうか。

本は「出すまで」が大変だが、「出したあと」はもっと大変だ。
1冊でも多く売れるように、なんとか知恵をしぼらなければならない。
悩みながら書店を歩いていると、入り口付近に有名作家の新刊が
数多く並べられているのを見かけた。初版で数万部。すごい影響力だ。

著者の世界では「著者の世界なりの競争」がある。
「出すまで」も競争だが「出してから」は、さらに熾烈な競争がある。
私たちは、どこまで行っても永遠に「競争からは逃れられない」のだろう。
だから、3冊目、4冊目をこれから先、出せたとしても、同じ悩みは
ずっと続いていくことになるはずだ。

私自身、当初は「一生に一度、一冊だせれば十分」だと思っていた。
しかし現実はそうはいかない。1を手に入れたら2がほしくなる。
これはすべての商取引、あらゆるビジネスにあてはまる原理原則なのだろう。

1億稼いだら、つぎは2億。
そうやって欲望はエスカレートしていく。
だから永遠に「満足」することはないし、
できたとしても、その感情は一瞬しか続かない。

これが「今の立場を軽く見てしまう要因」なのかもしれない。
「もっと!もっと!」と先を求めるから、今手に入れているものの価値を
見失ってしまう。サラリーマンの仕事でも同じだ。

かつて、多くのサラリーマンは、今の勤務先に入るために、
学生時代、どれだけの努力をしてきたのか?
受験競争を勝ち抜き、やっと手に入れたポジション。
しかし、その喜びも長くは続かない。社内での競争に翻弄される。
競争は死ぬまで続く。永遠に。どんな業界でも。

もちろん「今の状態に満足して甘んじること」は善ではない。
しかしそれは「今の状態に価値を感じなくてもいい」という意味ではない。
本を出したいサラリーマンからすれば、私は
「2冊も出しておいて、ぜいたくなことを言うな」というふうに
見られているのかもしれない。でも私の本心は『もっと売りたい!もっと出したい!』
なのである。これが正直な気持ちだ。

正社員であるサラリーマンも、就職できないフリーターからすれば
「正社員でありながら、ぜいたくなことを言うな」と思われているかもしれない。
にもかかわらず、正社員の中には「会社を辞めたい」と思っている人たちが少なくない。
けっきょく、人間はどのような状況に置かれても「今、自分が手に入れているものの価値」
には気づかないのだろう。

だから、自分の中に「もっと欲しい」という欲求が生まれたときには、
それを大切にしつつ、同時に「現状に感謝する気持ち」も忘れてはならない。
自分を支えてくれた存在を思い出し、傲慢さを捨てる。
その謙虚さを持っていれば、自然に次のステージにいけるはずだ。

(次回につづく。)

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2006年04月24日

大和賢一郎の新刊『会社とことん活用術』

大和賢一郎の新刊!『会社とことん活用術』幸せなサラリーマンのバイブル
大和賢一郎+ターレス今井(著) 本体1300円 ISBN 4-479-79157-4 大和書房
会社に行くのが10倍楽しくなる! コレを読む前に辞めると後悔します。

内容・詳細はこちら

ここ数年の起業ブームは、一体なんだったのか?
それは「幻想」である。煽り立てられて発生した蜃気楼のようなものだ。
と言っても、起業を否定しているわけではない。
ビジネスを本気で全うしたい人にとって、起業は最適な選択肢かもしれない。

しかし、だからこそ難しい現実がある。
資金面、時間面、そしてスキルや人脈、経験の不足。
そもそも起業とは「ブームだから始める」ものでなない。
そのような甘い誘惑に騙されてきた人たちは、悲しいことに
起業のための教材に数十万から数百万を投資しながら、
何一つ「商品化」することさえできていなかったりする。

私が懸念しているのは、起業が「サラリーマンの逃げの理由に使われること」だ。
会社がイヤだから、組織がイヤだからといって、安易に起業への道を突き進む人たち。
しかし、起業したからといって、組織における根本的な問題が解決するわけではない。

たとえば、私のように「作家」として活動している人間は、
周りから見たら「一人で好き勝手にやっている自由業」に見えるかもしれない。
だが、本を作るというプロセスは、まさに集団作業。チームでやるプロジェクトなのだ。
その点については、大規模なWEBシステムを開発するときとなんら変わらない。

より良い商品を作るためには、客観的な視点を保たなければならない。
だが、自分ひとりだけで担当していたら、どうしても内容が偏ってしまうのだ。
だからこそ、会社組織においては、個人の偏りを正すために、上司がいたり
周りのアドバイザーがいたりする。商品の中立性を保つためには、
とても重要な存在なのである。

だが、自己主張の強い社員は、周りの意見に耳を貸すことに消極的だ。
だから組織がイヤになる。自分こそが最高だと信じているから
その勢いで『起業したら大成功できるに違いない』と思い込む。
そこに大きな落とし穴があるのだ。

成功している起業家は例外なく「謙虚」である。
周りの意見に耳を傾け、どんな些細なアドバイスでも冷静に受け止める。
だからこそ成長し、魅力的な人間へと変わっていくのだ。

自分を正してくれるものの存在は重要である。
その点、会社にはたくさんの「第三者」が存在する。
あなたの仕事に介入し、口を出し、いらぬお世話をしてくるかもしれない。

だが、そこにどれだけの価値があるのか?に気づかなければ
ビジネスで成功することは難しいだろう。
助言をしてくれる人が一人もいなくなれば、まちがいなく廃れていく。
それが人間の「弱さ」なのである。

今回の新刊「会社とことん活用術」は、共著として書いた。
つまり、私一人の意見ではなく、共著者であるターレス今井氏の
意見も多数盛り込まれている。

ときにはお互いに意見が違うこともある。
だからこそ、それを調整し、うまくまとめていく必要があった。
このプロセスは、組織で商品を作る流れに似ている。

大勢の人間が、協力して1つの商品を作る場合、
そこでは「商品に対する情熱」がぶつかり合う。
だからこそ「前向きなバトル」が展開されることも珍しくない。
会社ではそのようなバトルを避けようとして、消極的になるサラリーマンも多い。
しかし、組織で働けること = チームメンバー同士で討論しあえること
が、会社員であることの最大のメリットだとも言える。

「会社を活用する」とは、どういうことか?
会社の「人」を活用する。
会社の「情報」を活用する。
会社の「資金」を活用する。

重要なことは「人が集まるところには価値が集まる」という現実を
よく理解することである。組織から離れることによって、
「その組織に集まっている価値の使用権」も捨てることになる。
それが「辞めること」の大きなリスクである。

もちろん『もうこの組織から得られる価値は無い』と感じるのならば
去るのも1つの方法だろう。しかし「その組織からどれだけの価値を引き出せるか?」
は、結局は「社員の仕事に対する姿勢次第」なのである。

会社に怒りを感じるならば「会社をもっと活用してから辞めよう」と思えばいい。
その過程で、会社から受けてきた恩恵に感謝し、ありがたみを感じることができれば、
今度は『自分のスキルを会社に還元したい』と考えるようになるだろう。
具体的には『自分の能力を最大限に発揮して、周りの社員(上司や同僚)に
喜んでもらいたい』と思うようになる。その状態こそが「会社を活用している状態」であり、
理想的な「幸せなサラリーマンの状態」なのである。

今回の著書『会社とことん活用術』が、
そんな「幸せなサラリーマンの人生を手助けする一冊」になれば
著者としてこんなに嬉しいことはない。

(次回につづく。)

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2006年04月21日

会議で「大声で発言する人」が求めているものとは?

辞めるなんてもったいない! 入社3年たったら読む本(ありがとう重版決定!)
大和賢一郎(著)1300円 ISBN4-479-79131-0 大和書房
巻末付録「絶対後悔したくない退職準備マニュアル」付き!!

内容・詳細はこちら

一般に「自己主張の強い人間」のほうが
起業では成功するといわれている。
少なくとも、上司に従順で言われたことしかやらない、
かつリスクをとらないような人間は、
起業して成功できるわけがない。

そして、どんな会社にも、組織において「自己主張の強い人間」は
存在する。具体的には「うるさい」「声がでかい」という態度。
以前の私も、それに近かった。

周りの社員は正直『うざい』と思っていたに違いない。
私もそれは少し感じていた。自分の起業意欲が強すぎて、
周りに威圧的な印象を与えていたかもしれない。
それはそれで、私自身が反省すべき点でもある。

しかしあるとき、私は気づいた。
本当の意味で「声が大きい」とは、どういうことなのか?を。

たとえば社内会議において、単純に「声のボリュームを上げる」
という方法がある。自分の意見をはっきりと述べ、主張する姿勢。
それはそれで大切なことだ。

だが、それは所詮「会議室の中でしか通用しない声の大きさ」にすぎない。
つまり、どんなにがんばっても、会社という枠をこえて
自分の声が世に出て行くことはないわけだ。

私は週末起業を実践するにあたり、
数多くの成功者と会った。
そして、成功者の多くが「静かに成功」していることを知った。

何が「静か」なのか?
まず「声」である。
威圧的な話し方はしない。あくまでも「おだやか」であり「やさしい」口調なのだ。
そこには「自己顕示欲を感じさせるような圧力」は一切存在しない。

かつては私自身『起業家とは力強く威圧的なものだ』と思っていた。
しかし実際は違う。「態度が威圧的」なのではない。「実際にやることが威圧的」なのだ。
ビジネスにおいて圧力を放出する。その他の場所では威圧的になる必要は無いし、
なってもメリットは無い。成功者はそれをよく理解している。

本当の「強さ」とは何か?
外見や態度で、どんなに「強く見せた」ところで、
現実にビジネスで勝てなければ、利益は得られない。
生きていくため、そして欲望を満たすためにお金が必要なのだとすれば、
「お金を稼ぐ仕組みを持っている」ということこそ、最強の「強さ」なのである。

だからこそ、成功者はむやみに「威圧的な態度」をとったりしない。
自分をひけらかしたり、自分のスキルを誇示するようなこともない。
ただビジネスの世界において、確実に、かつ積極的にパワーを使っていく。
そうやって堅く築き上げた基盤こそが、本当の「強さの証」であり「自己主張」なのだ。

私は、そのような成功者の生き方を見て、素直に「美しい」と感じた。
静かな美しさ。静かな強さ。「声の大きさ」が意味するもの。

それは単に「音量」という意味ではない。
幅広い人脈と指示、そして影響力。
自らのオピニオンを、どれだけの人たちに伝えることができるのか?
そのインフラをもっていること。インフラの大きさこそ、声の大きさ。

とくに、インターネットや出版の世界では、
自分で声を出すことも無い。ただ、その想いを文章にして、
文字として発信すればいい。そこでの影響力が「声の大きさ」なのだ。

その事実に気づくまで、私は2年かかった。
そして今では、職場ではあまり大きな声を出すこともなくなった。
限られた会議室の中で自己主張する自分が小さく思えたからだ。
もっと大きなフィールドがある。自分が声を発するべきフィールドが。
だからこそ私は、これからも情報発信を続けなければならない。
本当に心から「変えたいもの」があるのなら、それを変える事ができるのは
「大きな声を手にした者」だけだろう。ボリュームを伴わず、広範囲に影響を与える
「静かなる大きな声」。それがブログであり、メルマガであり、出版である。

(次回につづく。)

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2006年04月19日

社内で「相手のニーズを理解すること」の重要性

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大和賢一郎(著)1300円 ISBN4-479-79131-0 大和書房
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商売で大切なこと。それは「顧客の立場に立つこと」である。
顧客視点の重要性。これはいまさら言うまでも無いだろう。

しかし「理解しているか?」と「実際に行動しているか?」は
まったく別の問題。つまり「理屈では分かっていても、そのすべてを
行動に移せるわけではない」ということだ。

サラリーマンの場合「顧客」とは誰か?
最終的には「商品を買ってくれるお客様」になる。
しかし、組織で働くサラリーマンにとっては、
直接的な顧客は「社内の人間」であることが珍しくない。

たとえば、自分のチームと利害関係を持つ、
別のチームとの「内部打ち合わせ」をする場合。
こちらのチームが、相手のチームに要望書を提出しなければ
ならないとする。

この場合、直接的な顧客は「相手チームの代表者」であると定義できる。
相手チームがどんな情報を欲し、どんなフォーマットを期待しているのか?
それを知らなければ、相手(=顧客)が期待するアウトプットを提供することは難しい。

これは商売の原則に基づけば、ごく自然な考え方なのだが、
実際の職場においては、適用されていないケースが多い。
相手が何を欲しがっているかを事前にリサーチせず
一方的に解釈した情報に基づいて、成果物を引き渡したりする。
その結果、まったく相手が期待していない結果となり
「時間のムダだった」ということが、実際にはよくあるのだ。

もちろん、不特定多数のユーザを相手とした
マーケティングは、そう簡単にはいかないだろう。
「20代の若者が欲しているものは何か?」なんて
簡単に証明できるようなものではない。

しかし、社内のチーム間での取引においては、
相手が期待するものを明確に知ることができる。
その方法は簡単だ。相手に聞けばいい。

そこでは、組織間の壁、チーム間の壁、派閥意識を
乗り越えなければならない。しかし、別の言い方をすれば、
「たったそれだけ」のことで「相手のニーズを100%理解できる」
ということだ。こんなに簡単なマーケティングはない。

「顧客は誰なのか?」そして「何を欲しがっているのか?」という質問。
それを日々繰り返しながら仕事を進めることは重要だ。
相手が求めるものとピンポイントで与える。それこそが
最小限の労力で最大限の結果を生むための大原則であり、
その基本は、不特定多数相手の商売であろうと、社内取引であろうと
まったく変わらない。

(次回につづく。)

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2006年04月17日

部下も「上司の成長」を意識して行動する

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上司が「部下の成長に合わせて対応を変える」という考え方は重要だ。
これから「自立性」を養おうとしている部下に対しては、
あまり細かい指示をせずに、任せる時間を作ったほうがいい。
逆に、部下が砂漠に迷い込んでいるような状況では、
ほったらかしにせず、きちんと正しい方向に導く責任があるだろう。

そして、この考え方は「部下が上司に接する」ときにも有効である。
上司自身、上司として常に成長を続けなければならない。
つまり「育っていく」というプロセスは、部下も上司も同じなのである。

優秀な部下に囲まれた上司は、ある意味では「恵まれている」かもしれない。
だが、それは同時に「自分が上司として成長する機会を失っている」ともいえる。
メリットという名のデメリット。それに気づいていない状況こそが最大のリスク。

ときに、優秀な部下は、上司を飛び越して行動を起こそうとする。
たとえば、関連部署との対外的な交流は、基本的にチームリーダーの役目だ。
だが、チームリーダーがうまく交渉できない場合は、チームの一員が
リーダーの変わりに外部と交渉することを余儀なくされる。

外部の人間も「リーダーと話すよりは現場の担当者と話したほうが早い」
と考えて、リーダーをすっ飛ばしたコネクションを築こうとするかもしれない。
それはそれでスピードが上がるので結構なのだが、チームリーダーの
交渉力が育たないという意味では問題である。

仮に、あなたの上司がチームリーダーであり、かつ「交渉ベタ」だったとする。
関連部署からの問い合わせに、スムーズな回答ができない上司。
そんな姿を見て、あなたはつい口を出したくなるだろう。
話に割って入って『その件は私のほうが良く知っていますので…』などと
横槍を入れるのだ。

もちろん緊急時には、それは必要な対応だろう。
だが、そのような行動を習慣化すると、チームリーダーである上司は
『自分でチームの意思をまとめて、それを外部に伝える』という仕事を
しなくなる。つまり交渉力が低下するのである。
それは長期的に見て、会社に大きなデメリットをもたらすことになる。

ようするに、部下は「上司の成長」のために
『口を出すべきではない場面』を見極めなければならない。
いい意味で「ほったらかし」つまり「上司に任せる」ことも、
上司自身の成長のためには必要不可欠なのである。

部下はどうしても『自分の優秀さ』を上司にアピールしたいという
気持ちを持っている。だから「できるだけ上司のフォローをしたい」
と考えてしまうのだが、それは必ずしも正解とはいえない。

上司が部下を育てるために「突き放す」のと同じように、
部下もまた上司を「突き放す」ことが求められる。
もちろんお互いに「突き放す」ことばかりやっていては仕事は完結しないから
ケースバイケースなのだが、あなたがどちらの立場だとしても、
まずは相手の状況と成熟度を冷静に見極めるしかない。
少なくとも、上司にとっての「トレーニングの場所」を
部下が奪うようなことがあってはならない。それは会社全体に不利益をもたらす。

(次回につづく。)

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2006年04月14日

マネージャがやってはいけないこと

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マネジメントのスタイルは、大きく分けて以下の2つに分類できる。

1.詳細指示、独裁的

2.権限委譲、放任的


前者は、よく言えば「指示が具体的で分かりやすい」であるが、
悪く言えば「部下の自立性を失わせる」ということになる。

後者は、よく言えば「部下が自分で考えて育つ」ということだが、
悪く言えば「自分は何もしない無責任者」となってしまう。

では、どうすればいいのか?
どちらのスタイルが正解なのか?

私自身、この答えをずっと追い求めているのだが、
いまだに答えは見つかっていない。
そもそも、明確に「どちらが正解である」という線引きを
白黒はっきりさせるのが難しいジャンルなのである。

そこで登場する言葉が「ケースバイケース」である。
この言葉は非常に便利な言葉である。
それゆえに、説明できない事象のすべてを「ケースバイケース」
でおさめてしまおうとする場合も少なくない。

理想を言えば「指示するところ」と「任せるところ」
を臨機応変に判断し、その場に応じた適切な対応をすることが
ベストな立ち回りなのだろう。しかし現実には難しい。

この答えは今後も実践の中で学んでいくしかないのだろう。
けっきょくは「明文化できる絶対的な答えは存在しない」ということになる。

しかし、1つだけ「やってはいけないこと」があるのに気づいた。
それは「正当化するための言い訳に使うこと」である。

たとえば、あるマネージャーが
「放任主義・権限委譲」のスタイルをとっていたとする。
そして、彼のホンネは『めんどうだから』だったとする。
このように、自分の甘えがスタイルに反映されているとしても、
正論として『部下の自立性を養うためだ』といってしまえば聞こえがいい。
だからこそ「自分の行動を正当化するための言い訳」として使われてしまうリスクが
高いのである。

もちろん逆の場合もある。
「指示が細かい」のは、正論で言えば『それだけ部下のことを気にかけている』
となる。しかしホンネでは『自分の能力を誇示したい(権威の顕示欲)』かもしれない。

いずれにせよ、マネジメントスタイルが「個人の感情によるもの」
だとすれば、マネージャーは自分の感情を素直に受け止め、
客観的に判断するべきであろう。
ただ自分の欲望を満たすために、その行動をとっているのか?
それとも、部下やチーム全体のことを考えて、あえてそうしているのか?
外から見たときの行動は同じでも、この両者には大きな違いがある。
そこにウソや矛盾があったとき、そのひずみは長期間蓄えられ、
やがて大きな「プロジェクトの失敗」として表れてくる。

マネージャの行動と感情がプラスにリンクしているか?
正しく機能しているか?
それは目に見えない世界。だからこそ
現場のマネージャ一人ひとりが、自覚を持つしかないのだろう。

(次回につづく。)

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